突然ですが、上司の皆さんは、こんな思い違いをされていないでしょうか?
部下との会話の最後のシーンです。
部下:「今まで考えたことのない視点でした!ありがとうございます!」
上司:「そうか!よく気付いたな!(気付いてくれてよかった~)」
コーチングを学んだ上司が陥る落とし穴が、「気付きを与えれば部下が変わる」という思い違いです。
気付きを与えても、部下の行動は直ぐに変わりません。
変わるためには、部下自身が自分で考える時間を確保し、気付きを醸成する時間が必要なのです。
この時間のことをセルフトークといいます。
簡単に、「間」といったりします。
コーチング後のセルフトークとは何か?
上司に言われたことやコーチに尋ねられたことが、その場ではすぐに反応できなかったけれどその後も頭の中に残って、その答えを探し続けたり色々発想を展開していくことは誰にでもあると思います。この自分の内側で続く会話のことをセルフトークといいます。
いわば、私たちの内側の会話で、多くは自問自答のカタチを取ります。
参考:伊藤守 「3分間コーチ」
コーチに鋭い質問をされると、すぐには答えられません。
コーチ:「あなたのお店は何のためにあるのですか?」
この質問に、即答できる人は常にこのことを考えている人だけです。たいていは「えっ??」となります。
クライアント:「何って、お客様のためです・・」
絞り出すかのような声で答えます。
コーチ:「それは本当ですか?」
(間をとって)
クライアント:「本当です・・」
コーチ:「それは、どのようにお客様のためになっているのですか?」
クライアント:「えーっと・・」もう混乱ですね(笑)
コーチングでは、敢えてこのような混乱を起こさせます。受けている側は苦痛です。
そして、脳には強い負荷が掛かります。
クライアント:「さっきはお客様のためと言ったけど、なんかしっくりこないな・・」熟考します。
ここでセルフトークが起こるのです。
コーチは、この時にキャリブレーションしています。キャリブレーションとは、相手の表情、顔色、姿勢、仕草などを観察することです。関連記事⇒コーチングで大切なキャリブレーションとは何か?
気付いただけでは行動は変わらない。
次に、部下の頭のなかはどうなっているかを見てみます。
引用:伊藤守 「3分間コーチ」
クライアントは自分で熟考し選択肢を導き出して行動を変えるという時間が必要です。
コーチングをする際には、この一連の流れを理解しておきましょう。
「熟考」「選択」の段階で大事なこと
クライアントは、「熟考」の段階で脳に負荷がかかります。
それは、簡単に答えれそうな質問なのに答えが出ないからです。
絶妙なコーチの質問のコツはここにあります。
論理的に考えないといけないような質問は脳がセルフトークを開始しません。
データが無いと答えられない具体的な質問だとすぐに答えが出ないというのもありますが、たとえデータが目の前にあっても「〇〇なんじゃないか?」と仮説を立てれるのであれば、この時点で脳は答えを出していることになります。
それだと脳は「熟考」する必要がありません。
答えれそうで直ぐに答えが出ないような、もっと抽象度の高い質問が必要なのです。
一時的に混乱を与える魔法の質問
コーチングの際には、予め選択肢を与えることで一時的な混乱を引き起こします。
私はよくこんな質問をします。
事例を出すと、着手しようと思うのに手が出ないことや、やりたいのに出来ないことの時です。これを言われると混乱します。
今まで、問題解決は左脳を使っていました。論理的に考える脳が左脳です。
でも、この質問は右脳を使う必要があるのです。右脳はイメージをする脳です。
「止めているものは?」の答えには、論理的な答えが出ません。ですので、セルフトークの段階では、右脳を使いイメージする質問が出来れば自然と「熟考」⇒「選択」に進むと考えています。
セルフトーク|自分で考えるから行動が変わる
誰かから言われたアドバイスで行動したいとは思いませんよね?
上司にしっかりと指示をされて行動したいという人も、本音を探ると「自分自身で考えたい」という人ばかりです。
自分で行動を変えようと思えると、上司に言われた何倍もエネルギーが出てきます。
部下の行動を変えたいのであれば、上司自身の言動を変える必要があります。
アドバイスをするのではなく、気付きを与えてセルフトークさせるのです。
これをコーチングと呼んでいます。
まとめ
単に気付きを与えても行動が変わらないという理由はご理解頂けましたか?
気付きを与えて、部下がセルフトークして初めて行動が変わります。
今日は、そのメカニズムの話でした。
「コーチは、アドバイスをする人ではない」この事がわかっていた人も、セルフトークやコーチング後のメカニズムは知らなかったかたも多いのではないでしょうか?
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