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人間万事塞翁が馬|“もう終わりだ”と思ったあの日が、研修講師としての始まりだった

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人間万事塞翁が馬|“もう終わりだ”と思ったあの日が、研修講師としての始まりだった

こんにちは、森友ゆうきです。

私が“人前で話せなくなった”のは、今から約10年前、40歳を過ぎた頃のことでした。

当時、私はエリアマネージャーとして複数店舗を統括し、
社内でもベテランと呼ばれる立場にありました。

新人指導も、店長会議の進行も、マネジメントも一通りこなしてきた自負がありました。
ところがある日、突然それができなくなったのです。

人前に立つと、体が震え、声が出ず、思考が止まる。
1対1では問題ないのに、複数人を前にすると、自己紹介すらできなくなる。

このままでは業務が回らない。
でも「異変が起きている」と周囲に気づかれないよう、私はその状態で騙し騙し、仕事を続けていました。

それは、“仕事はできる自負はあれど、話せないエリアマネージャー”として、
見えない孤独と不安を抱えながら生きる日々の始まりでもありました。


第1章|薬も社外講座も効かなかった──悪化の一途と「終わった…」という絶望

まず向かったのは心療内科でした。医師からは、”社交不安障害の一種”との話でした。

処方された薬を服用してみましたが、体が受けつけず、副作用だけが残りました。

「それならば自分で何とかするしかない」と思い、私は行動に出ました。

  • ストアカで過緊張を解消するセミナー
  • 即興で演技を行う“インプロ”のトレーニング
  • 元アナウンサーによる話し方講座

気づけば、数カ月で20以上のセミナーに申し込み、受講していました。

ですが、結果は無惨なものでした。

緊張はまったく消えず、むしろ悪化していったのです。

「どれだけやっても変わらない」
「もう無理なんじゃないか」

そんな絶望の真っ只中にいた私に、ある日、さらなる追い打ちがかかります。

それは──
教育部署への異動内示。

「終わった……」

人前に出ることができなくなっていた自分にとって、
“登壇することが仕事になる”教育部門への異動は、まさに恐怖そのものでした。

休日も、夜も、心が休まらない。
「また来週、話さなきゃいけない」というプレッシャーが、常にのしかかっていたのです。

逃げ場はなかった。
でも、このタイミングで、私はある決断をします。

それが、NLP(神経言語プログラミング)の受講でした。

高額でしたが、もはや背に腹は代えられなかった。
「これで変われなければ、もう本当に終わりだ」と思っていました。

──そして、そこには単なる“緊張を和らげる方法”ではなく、
アメリカから来た“伝える力”と“コーチングの技術”が待っていたのです。


第2章|NLPとの出会い──“緊張しない技術”ではなく、“伝える力”の再構築

当初、私は「緊張しない話し方」を手に入れようとしていました。
けれど、NLPで得たのはそれ以上のものでした。

NLP(神経言語プログラミング)は、
人間の脳のパターン、言葉の使い方、行動の習慣を扱う“実践心理学”。

私が学んだNLP-JAPANラーニング・センターでは、

  • 「人はどうすれば変われるのか」
  • 「言葉はどう相手の無意識に届くのか」
  • 「緊張を味方にするにはどうすればよいか」

そんなテーマを、徹底的に体験ベースで学びました。

とくに印象的だったのは、「あなたを止めているものは何か?」という問いでした。

私はそれまで、“うまく話す”ことばかりを意識してきました。

でも、本当に大切なのは、
「相手の変化につながる言葉」を届けること

そして、その前提として「自分自身の状態を整えること」の重要性を知りました。

そうして私は少しずつ、
「話す怖さ」ではなく、「伝わる喜び」に目を向けられるようになっていきました。

今では、100人以上の前でも自然体で登壇できるようになっています。

次章では、このNLPの学びがどのように
私の“伝える力”と“リーダーシップ”に影響を与えたのかをお話しします。

第3章|NLPが変えた“伝える力”とリーダーシップ

NLPの学びは、単に“話せるようになった”という表面的な変化だけではありません。

もっと本質的に、私の「伝える」という行為そのものを変えてくれました。

話すこと=「正しく伝えること」ではなかった

以前の私は、人前に立つと「上司らしさを出そう」と身構えていました。

エリアマネージャーらしい発言をしなければ。
期待に応えないと。

正しいこと、正確なことを言わなければ。

そんなふうに、“自分を守ること”に必死だったのだと思います。

でもNLPを学んで、
「伝えるとは、相手の変化を引き出すこと」という視点に出会いました。

“わかりやすい”より、“残る”。
“正しい”より、“動きたくなる”。

その視点で言葉を選ぶようになったことで、
私ははじめて「人のために話す」という状態に変われた気がします。

自分の“状態”に気づけるようになった

緊張しない人なんて、いません。

大事なのは、「今、自分はどんな状態か?」に気づき、整えられるかどうか。

NLPではこれを”ステート”と言います。

呼吸、姿勢、視線、言葉のスピード。

NLPのトレーニングでは、
身体の使い方や“無意識のクセ”まで意識化して、
その場で整えるスキル=ステートを体得していきました。

この「自分の状態に気づける力」は、
実施する様々な研修や1on1、会議の場でもそのまま活きています。

“聞く力”が、言葉を届かせる

話すことばかりに注目していた私が、
NLPを通じて気づかされたのが“聞くこと”の力でした。

相手と呼吸を合わせ、
言葉に出ていない“感情”や“前提”に耳を傾ける。

信頼関係(ラポール)が築けていない状態では、
どんなに上手く話しても、相手の心には届きません。

今では、スタッフや研修参加者に対しても、
「何を伝えるか」より「どんな関係で伝えるか」を意識するようになりました。

伝えるとは、「整えること」

話す技術や話術ではなく、
伝えるとは「場を整え、自分を整え、相手との間を整えること」

これは、話せなかった私が、
やがて100人の前に立てるようになった最大の理由です。

そして今では、
「伝えることに悩む人の気持ちがわかる」ことそのものが、私の武器になっています。

次章では、「人間万事塞翁が馬」という視点で、
この経験がどう意味を変えたのかを振り返ります。

第4章|人間万事塞翁が馬──あの地獄の時間がくれた“深さ”

「人間万事塞翁が馬(じんかんばんじ さいおうがうま)」

この言葉は、中国の古典『淮南子』に登場する故事成語です。

国境近くに住んでいた一人の老人の馬が逃げたとき、
周囲の人々は「不幸だ」と言いました。

ところがその馬は、数頭の良馬を連れて戻ってきた。
人々は「幸運だ」と言いましたが、今度はその馬に乗った息子が落馬して大ケガを負う。

さらに戦争が起こり、
そのケガのために兵役を免れた息子だけが生き延びた──

その時その時の出来事に、「幸」も「不幸」も決めきれない。
人生とは、そういうものだという教訓です。

苦しかったあの時間を、今はこう呼べる

人前で話せなくなった日々。
努力が空回りし、「伝えたいのに伝えられない」もどかしさに、何度も心が折れそうになった。

当時の私は、それを“失敗”とか“終わり”と呼んでいました。

でも今は、はっきりと言えます。

あの地獄のような時間があったから、
私は「伝えることの本質」に出会えたのだと。

伝え方は、“苦しんだ人”ほど深くなる

「うまく話せない自分を責めた時間」があったから、
「うまく話せない人の気持ち」が、誰よりもわかるようになりました。

「伝わらない苦しさ」を知っているからこそ、
「伝わった瞬間」の価値が、誰よりも尊く感じられるようになりました。

今、研修や現場で誰かに言葉を届けるたびに、
あの経験が、言葉の“深み”や“信頼の前提”として支えてくれていると感じています。

塞翁が馬──あの時には見えなかった“意味”が、今はわかる

「もう終わりだ」と思ったあの日が、
伝える力の原点になった。

教育部門に異動になったあの瞬間が、
講師としての始まりだった。

人前で話せなかった自分の過去が、
誰かの背中を押す言葉を生む“根”になっている

まさに、塞翁が馬。

あの出来事は、単なる試練ではなく、
「意味を変えるために必要な時間」だったと、今ではそう思えるのです。

そして最終章では、この記事を読んでいるあなたに、
今まさに苦しんでいるかもしれないあなたに、ひとつの言葉を贈りたいと思います。

結び|今つらいあなたへ。「いつか、意味が変わる日が来る」

もし今、

  • 努力しているのに、結果がまったくついてこない
  • 人前に立つと、普段の力がまるで出せなくなる
  • スタッフとうまくいかず、求心力を失っている

──その苦しさは、あなたが真剣に向き合っている証拠です。

私自身、声が震え、話すことが怖くなり、
「終わった」と絶望した時期がありました。

でも今、100人の前で話す場に立ち、
その経験ごと、誰かに伝えられる自分になっています。

人間万事塞翁が馬。
あの頃には想像もできなかった意味が、今になって見えてきました。


そして後から知ったのは──

世に出ている多くの講演家たちも、
かつては人前で話せず、過緊張で悩んでいた人が意外と多いということ。

だからこそ、彼らは「話すこと」「伝えること」を研究し、
やがて人を動かす言葉を手に入れていったのです。

今何かに苦しんでいることは、人間万事塞翁が馬である可能性があるのです。

今のあなたには、意味が見えないかもしれません。

でも、「あの出来事があったから」と言える日がきっと来ます。

つまずきも、停滞も、迷いも、
あなたの“物語の途中”にすぎません。

焦らなくていい。
止まってもいい。
ただ、あきらめずに、その場所で、もがき苦しんでください。

あなたが今日抱えている悩みは、
いつか誰かを救う言葉になります。

私がそうであったように。


投稿日2025年5月20日|森友ゆうき

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