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営業利益率6.3%の秘密|アメリカ最強の“田舎スーパー”に学ぶ黒字経営の極意

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営業利益率6.3%の秘密|アメリカ最強の“田舎スーパー”に学ぶ黒字経営の極意

第1章|アメリカ最大の“地方スーパー”ダラージェネラルとは?

こんにちは!森友ゆうきです。

アメリカには、Walmart や Costco のような巨大店舗だけではなく、
もっと“地味”で“ローカル”なのに、高い利益を出し続ける企業があります。

その代表格が Dollar General(ダラージェネラル)

本社はテネシー州。全米に 約19,000店舗を展開し、Walmart よりも店舗数は多く、
2024年現在で年間売上 約4兆円・営業利益 約2500億円を叩き出しています。

一見すると「片田舎のよくある小さな店」ですが、
その裏側には、日本の小売業が学ぶべき“利益の出し方のヒント”が詰まっているのです。

第2章|「売上よりも利益」重視の経営モデル

Dollar General は、客単価が数ドルという「超・日常使い型」の業態。
にもかかわらず、利益率が高いのはなぜか?その答えは、次のような“利益構造”にあります。

指標数値(参考)特徴
営業利益率約6.3%Walmart(約3.6%)の約2倍
荒利益率約20.8%PB比率が高く、粗利を確保
ROA(総資産利益率)約6%少人数・省設備で高効率

ポイントは、「荒利益率はそれほど高くない」こと。
でも販管費を極限まで下げているため、しっかりと利益が残る。

たとえば、店舗は約300〜400㎡のコンビニサイズ。スタッフは1〜2人。
都市部ではなく、人件費・地代が安い「地方」に特化しているため、
圧倒的にローコストで運営できるのです。

この“利益を出す構造”は、日本の地方店舗でも大きなヒントになるはずです。

第3章|なぜ稼げる?「省人・小商圏・高回転」の仕組み

ダラージェネラルの強さの本質は、「売上を求めすぎず、利益をきちんと残す構造」にあります。
そのカギとなるのが、以下の3つの設計です。

  • ① 少人数運営
    1店舗あたり2〜3名で運営。商品数を絞り、レジ待ちも最小限に設計。
  • ② 小商圏集中
    商圏は2〜3km圏内の住宅街。大型スーパーが入りにくい“買い物弱者エリア”を狙う。
  • ③ 高回転型の商品構成
    食品・洗剤・文房具・電池など、暮らしに必要なアイテムだけに絞り込む。
    PB(自社ブランド)比率も高く、利益率の確保にもつながっている。

店舗のオペレーションを徹底的に「利益体質」に絞ったモデルであり、
人件費・家賃・在庫回転のすべてが“ムダを生まない設計”になっているのです。

第4章|日本の本部と店舗が学べる“3つの視点”

ダラージェネラルの事例は、単なるアメリカ成功企業の話ではなく、
日本の地方型小売・ディスカウント業態・ドラッグストア・小型スーパーにとっても参考になります。

① 売上より「利益体質」の発想

「今より売上を伸ばす」よりも、“今の売上で利益を最大化する”という発想に転換すること。
そのためには、SKU(品目数)・人員配置・販管費率の見直しが不可欠です。

②「何を売らないか」の戦略

何でも置くより、「売れる商品だけを売る」構成力
“少ない商品で高回転”を目指すことで、在庫リスクと無駄な労力を大幅にカットできます。

③ 本部主導の「利益設計型」オペレーション

PB強化・物流効率・省人設計など、店長まかせにしない設計を本部が担う。
利益構造を現場任せにせず、全社で“勝てる型”をつくる時代です。


第5章|店長と本部、明日からできる「利益のつくり方」

店舗(店長)でできること

  • 1人あたり粗利を見て、業務と人員配置を再設計する
  • SKUを絞り込み、「売れる商品を売り切る」売場づくりを意識する
  • “何でも置く”から“選ばれた商品に集中”へ、発注と陳列を変える

本部でできること

  • 利益を基準にした「省人モデル」や「レイアウト・動線」の再設計
  • PB商品の開発とSKU削減による、粗利率の最大化
  • 現場に任せすぎない「利益構造」の本部設計・支援強化

店長も本部社員も、「売上を追うこと=会社の貢献」ではなく、
「利益を残す構造をつくることが貢献」という視点に立つことが必要です。


第6章|PBが利益に効く理由と、少人数運営の裏側

PB(プライベートブランド)で粗利が上がる理由

ダラージェネラルの荒利益率は約20%。
その背景には、PB比率の高さ(6〜7割)が大きく関係しています。

  • 仕入コストを抑えられる(中間マージンが不要)
  • 競合と価格比較されにくく、値引き圧力が弱い
  • 独自の売れ筋を育てることで“定番化”し、在庫効率が高まる

結果として、「価格が安いのに利益が残る」という構造がつくれます。
PBは「安さを出す武器」であると同時に、「儲けを確保する土台」でもあるのです。

なぜ“2人運営”が可能なのか?

もう一つ、ダラージェネラルの特筆すべき点は、徹底した省人運営です。

  • 品揃えが絞られていて、陳列・補充がシンプル
  • 業務がマルチタスク前提で設計されている
  • 立地的に来客数も適正に抑えられている(郊外・地方型)

また、バックヤードスペースは極小、商品はすぐ棚に出す「フロントストック方式」。
これにより、「品出し」「レジ」「接客」など全業務が少人数でも回せるようになっています。


第7章|まとめ|あなたの店舗に活かせる3つの問い

ダラージェネラルの強さは、単に「安いから売れる」ではありません。
構造で利益を出す仕組みを持っていたことが、持続的な黒字経営のカギでした。

あなたの店舗でも、以下の3つの問いを考えるだけで、今日から利益改善が始まるかもしれません。

  • バックルームに「利益を圧迫する在庫」はありませんか?
  • 1人1時間あたりの荒利は、把握できていますか?
  • その商品を“なんとなく”置いていませんか?

店舗は、売上よりも利益を生み出す力が問われる時代です。
だからこそ、小さくても強い店舗づくりが、これからの小売にとっての勝ち筋になります。

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