こんにちは!森友ゆうきです。
私は、NLPに出会ってからは部下の方と向き合うときにいつも「自分はこの人をどう見ているか?」を問い直すようにしてきました。
人を育てるには、教え方や関わり方よりも前に、
“見る前提”が整っているかがすべてのスタートラインになると感じています。
NLP(神経言語プログラミング)には、人間関係における18の前提があります。
その中から私は、部下を見る力を整えてくれる7つを実践の中で特に大切にしてきました。
この記事では、その7つの前提を、
前半=「部下を理解する4つの視点」
後半=「部下の可能性を信じる3つの視点」
に分けてお伝えしていきます。
【最新記事の目次】
前半:部下を理解する4つの前提
①「相手の世界観を尊重する」
人はそれぞれ、自分の「見ている世界(現実)」が違います。
NLPでは、それを“地図(マップ)”と呼びます。
部下の発言や行動が「理解できない」と感じるとき、
それは“おかしい”のではなく、その人のマップでは正しいだけなのかもしれません。
- 「なぜそうしたの?」ではなく「どうしてそう思ったの?」と聞く
- 自分の常識で判断せず、相手の見ている世界を聞きに行く
- 私は部下の見方を尊重していたか?
- 自分のマップで動かそうとしていなかったか?
「部下の価値観や世界観はどのような“地図(マップ)”なのかな?」と探しながら会話すれば、尊重された行動に自ずとなります。
②「その人の行動がその人自身ではない」
ミスや失敗が続くと、つい「この子はダメだ」と人格そのものを否定してしまいそうになります。
でも、NLPでは「人は人、行動は行動。行動は変えられる」と考えます。
人の価値を下げずに行動だけを見て関われるか。
それが、信頼を崩さずに成長を促す鍵です。
- 「行動」をフィードバックし、「人」を否定しない
- 「このやり方を変えよう」と言えるかが境目
- 私は行動と人格を混同していなかったか?
- 人への尊重を保ったまま、改善提案ができていたか?
人は人、行動は行動。行動は変えられます。
たとえ良くない行動だったとしても、その人自身ではないですよね?
昔は暴走族に属していた人も、大人になればとても優しく、正義感の塊のようになる人だって沢山います。
簡単に見限らない。
そういう人なのか・・ではなく、部下の良くない行動を切り分けて、指摘し修正を促せるマネジャー・店長であってください。
③「地図(マップ)は領土(テリトリー)ではない」
「この子のことは理解できている」
そう思ったときこそ、落とし穴に気づくべきです。
NLPでは、言葉や表現(マップ)は、その人の主観的現実であり、
それは“把握できている範疇(テリトリー)”ではないと考えます。
たとえば、部下が「大丈夫です」と言っても、
それがあなたの想定と同じ意味かどうかは、確認しないとわかりません。
- 「大丈夫」と言われたら、具体的に何がどう大丈夫かを尋ねる
- “言葉”ではなく、“意味”をすり合わせる姿勢を持つ
- 私は「わかったつもり」で会話を終えていなかったか?
- 部下のマップを確認しながら伝えていたか?
④「相手の反応が、あなたのコミュニケーションの成果である」
「ちゃんと伝えたのに…」「何度言っても変わらない」
そう感じたとき、私たちはつい“部下の受け取り方”に原因を求めがちです。
でもNLPでは、“相手の反応こそが、自分のコミュニケーションの成果”と捉えます。
伝えたつもりでも、伝わっていなければ「伝えていない」のと同じ。
結果を相手のせいにせず、「どうすれば届いたか?」に思考を切り替えることが、次の行動を変えていきます。
- “伝えたかどうか”ではなく、“伝わったかどうか”で確認する
- 部下の反応・行動・表情はすべてフィードバックと捉える
- 私は相手の反応を見て、伝え方を調整していたか?
- 伝わらなかった責任を、自分の側でも引き受けていたか?
私の事例
研修講師として登壇していると、この現実をいつも感じます。
反応が良いのか、悪いのかは前に出るともの凄く伝わります。それは5人でも100人でも同じです。
その場合、私は「私の自己開示が足りないから、受講者が心を開ける段階に入ってないんだ」と考え、早めに心をオープンにするよう努めます。
“伝えたかどうか”ではなく、“伝わったかどうか”で確認していく訓練です
伝わっていないのであれば、先に自分を見直すことです。
後半:部下の可能性を信じる3つの前提
⑤「すべてのプロセスは、全体性を広げるためにある」
仕事でミスをしてしまった・・そのようなことは社会人になってから山のようにありますよね?
また、部下に任せた仕事がうまくいかなかったとき、
「やっぱり無理だったか…」と早々に見切ってしまいそうになることがあります。
でもNLPでは、すべてのプロセスは“全体性”を広げるために存在していると捉えます。
失敗に見えることも含めて、その経験は、その人の中で確実に何かを育てているという見方です。
- 失敗も含めて「今、何が育っているのか」に意識を向ける
- 「やらせてみてよかったこと」を見つけて声にする
- 私は“今すぐの成果”だけで判断していなかったか?
- この経験が、後でどう活きるかを信じて見守っていたか?
ミスがあったから、その後のミスが回避された・・
苦手な上司に出会って、暗中模索していた時期があったから今がある・・
これからのあなた(部下)の成功は、すべてのプロセスは“全体性”を広げるために存在していると思えるか否かでしょう。
また、NLPでは似たもので、以下の前提もあります。
失敗はない、フィードバックがあるだけ
全体性を広げるための失敗であれば、それは有難いフィードバックです。
可能性を広げるために、失敗や挫折もあるのだと思います。
⑥「誰かに出来ることなら、自分(あなた)にもできる」
「あの先輩みたいにはなれないと思ってるんです」
そう、口にする部下に、あなたはどう応えますか?
NLPでは、誰かに出来ることなら、自分にもできるという前提を持ちます。
必要なのは、“できるようになるまでのやり方”と“サポート”だけです。
- 私は「この子にもできる」と信じて関わっていたか?
- “やり方”を一緒に見つけるサポートができていたか?
- 「先輩にできたんだから、あなたにもできるんじゃない?」と直球で伝えてみる
- 成功モデルを具体的に分解して、真似できる形にして渡す
同じ人間が出来た”モノやコト”であれば、出来る可能性は十分にあります。
上司として「この部下にもできる」と信じて関われていたのかは、大いに反省すべき点です。
⑦「意識が向いているところにエネルギーは流れていく」
部下が「できていないところ」ばかりに目を向けていると、
自然とエネルギーもそちらに吸い込まれてしまいます。
NLPのこの前提は、「意識が向いているところにエネルギーは流れていく」という考え方。
だからこそ、リーダーである私たちが、
“何に意識を向けさせるか”を意図して関わることが重要です。
- できたこと・進んだことに焦点を当ててフィードバックする
- 「できていないこと」ではなく、「これから伸ばしたいこと」を語り合う
- 私は部下に何を意識させていただろうか?
- 指導の言葉が、前向きな方向にエネルギーを流していただろうか?
おわりに|部下を変えようとする前に、自分の“見方”を整える
私は、部下を動かす方法ばかり考えて店長・エリアマネジャーをしてきました。
そのため、部下にとって決して良い上司ではなかったのではないかと思います。
その後、研修を担当することになったため、このNLPを学び始めたとき、最初に出会ったのがこのNLPの前提です。
あれから7年。今思い返しても、これ等の前提は本質を突いているなと感じます。
”部下を見る力を整えてくれる7つのNLPの前提”を持って面談に臨むことで、
私は「どんな部下でも、一度まっすぐ見てみよう」と思えるようになります。
相手の行動に振り回されるのではなく、
自分がどんな“見方”でその人と関わっているかを問い直すこと。
それが、私にとっての育成の土台になっています。
人はすぐに変えられない。変えられるのは、自分の関わり方だけ。
だからこそ、“どう見るか”がすべてのスタートラインだと思っています。
この記事が、あなたの見方をひとつでも整えるきっかけになればうれしいです。
森友ゆうき