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あなたの店舗は閉鎖空間?それとも開放区?蔦屋に学ぶ場づくりの本質
こんにちは!森友ゆうきです。
「この店、なんか閉じてるな…」
そんな空気、感じたことありませんか?
お客様もスタッフも、表情が硬くて言葉が少ない。
店内の音も笑顔もなく、ただ作業が淡々と進んでいく。
それはもしかすると、閉鎖空間になってしまった店舗かもしれません。
そんな今だからこそ紹介したいのが、江戸時代の出版人・蔦屋重三郎。
武士の支配する閉鎖的な社会のなかで、町人文化を花開かせた
「文化の開放区」をつくった男です。
この記事では、蔦屋の思想をヒントに、現代の店舗における“場づくり”を考えていきます。
第1章|江戸の出版人・蔦屋重三郎がつくった「開放区」
蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)は、18世紀の江戸で活躍した出版人です。
彼は、喜多川歌麿や山東京伝など、当時タブーとされた風俗・風刺・色気の世界を
あえて作品として出版し、世に問いました。
幕府の検閲と常に背中合わせ。発禁処分を受けたこともあります。
それでも彼は、「ここは自由に創造していい場」を信じ、文化人や芸術家を支援し続けました。
その空間は、まさに今で言う「文化の開放区」。
支配される場ではなく、共に表現する場を生み出していたのです。
第2章|閉鎖空間の店舗に共通する“3つの特徴”
現代の店舗でも、組織文化が“閉じる”と、次のような現象が起こります:
- お客様との会話がマニュアル的で、心が通っていない
- スタッフが萎縮し、提案や改善の声が出ない
- 情報が上司だけに集中し、全体が止まってしまう
こうなると、いくら販促をしても響かず、売場も活気を失っていきます。
これはまさに、店舗が“閉鎖空間”と化している状態。
問題は「売上」ではなく、“空気”と“文化”の欠如にあるのです。
第3章|開放区としての店舗が持つ“文化の匂い”
一方で、うまくいっているチェーン店舗には、ある共通点があります。
それは、店舗全体に“自由な空気”と“挑戦の匂い”があるということ。
・部下が「こんな陳列にしたらどうか」とアイデアを出し、それが即採用される
・失敗を恐れず、「やっちゃいな!」と背中を押す文化がある
・誰かの提案が、全体の運営に反映される流れがある
このような店舗では、たとえマニュアルがあっても、“考える余地”が残されているのです。
お客様はその空気を感じ取り、「この店、なんか居心地いいな」と自然に思います。
それは、店全体が「個人を尊重する空間=開放区」になっているから。
次章では、店長自身がその空気をつくる“文化の編集者”であるという視点を掘り下げます。
第4章|「やっちゃいな!」を育てる本部の“受け取る力”
自由な発想は、店舗からだけでは育ちません。
もう一方で大切なのが、本部が“受け取る力”を持っているかどうかです。
店舗が「やってみたこと」「感じたこと」「試したこと」を、
「現場で勝手にやった」と切り捨ててしまっては、発想は死んでしまいます。
必要なのは、「まず聞く」「まず見る」「まず試す」姿勢です。
・提案が来たらすぐにヒアリングし、形にする準備をする
・“たまたまの成功”を“仕組みにできるか”を見極める
・現場の言葉をルール化するのではなく、“気づき”として扱う
本部がそうした感度を持っていると、現場は安心して自由に動けるようになります。
つまり、本部自身が“開放区”でなければ、店舗に開放区は”絶対に生まれない”のです。
第5章|小さな蔦屋を、あなたの売場に
蔦屋重三郎は、時代の規制を恐れず、文化人や絵師に場所を与えました。
そして、彼らの表現を“売れる形”に編集し、世に届けたのです。
これは、まさに今の店長・エリアマネジャーの役割と重なります。
店舗スタッフの中にある“想い”や“気づき”を引き出し、形にする。
その場に「やってみよう」という空気をつくる。
ルールと創造のあいだにある“ゆらぎ”を、信じて任せてみる。
そんな場を生み出す店長こそが、「現代の小さな蔦屋」なのではないでしょうか。
あなたの店舗にも、小さな文化が芽吹く“開放区”を。
その第一歩は、「やっちゃいな!」と、あなたが背中を押すことから始まります。
森友ゆうき