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変化に強い店長になる|易経から学ぶリーダーの在り方
こんにちは!森友ゆうきです。
店長という役職は、いつも「変化」に囲まれています。
新人が突然辞める。昨日まで売れていた商品が急に売れなくなる。本部から方針が急に変わる——。
そんな毎日の中で求められるのが、ブれずに判断し、現場を導く力です。
そのヒントになるのが、古代中国の叡智(えいち)『易経(えききょう)』。
易経は、「変化をどう受け入れ、どう動くべきか」を示してくれる書です。
今回は、そんな易経から学ぶ店長論をお届けします。
「易経(えききょう)」とは?
『易経』は、古代中国の思想書であり、「変化」をテーマとした書物です。
私達には「占い」としてしか馴染みがないかもしれませんが、実は店長論にも通じる理論がたくさん含まれています。
まさに、“変化にどう向き合い、どう判断すべきか”を示す哲学書です。
特徴は、物事を「陰(いん)」と「陽(よう)」という2つの対立する性質で捉える点にあります。
この陰陽の組み合わせから64の「卦(け)」が生まれ、そこに人間のあらゆる営みや変化の原理が込められています。
3000年も受け継がれる書物は、只者ではありません。
それだけ長く読み継がれてきたということは、
時代が変わっても「変わらない真理」
「変わることが当然」という前提に立ち、どう動くかを示す書──それが易経。
なるべく簡潔に5つにまとめます。
第1章|「変易(へんえき)」:変化は避けられない
易経はまず「変化はあたりまえ」という前提から始まります。
売上の上下、スタッフの退職、トレンドの移り変わり…。
現場に“安定”など、そもそもないのです。
「変わること」を恐れるのではなく、「変化に備える」のが店長の仕事。
変わることに慌てるのではなく、「今、何が変わろうとしているのか?」と問い続けることが、先手を打つ力になります。
第2章|「不易(ふえき)」:変えてはいけないものもある
一方で、変わらないものもあります。
たとえば「お客様への敬意」や「安全への配慮」、「スタッフへの信頼」など。
現場がどう変わっても、“店長として守るべき軸”は存在するのです。
易経は「変化の中の不変」を見つけよ、と教えてくれます。
毎日が変化の連続だからこそ、自分の「リーダーとしての軸」を持ちましょう。
第3章|「簡易(かんい)」:物事をシンプルに捉える
易経は、すべてを「陰」と「陽」、たった2つの要素で読み解く哲学です。
それはつまり、「複雑な現象も、本質を見抜けばシンプルだ」ということ。
・任せるのか、自分でやるのか
・今日やるべきか、明日でいいか
・注意するのか、見守るのか
迷ったときほど、“白黒つける力”が、判断スピードを上げます。
第4章|「中庸(ちゅうよう)」:バランスをとるというリーダーシップ
売上と人件費、スタッフと本部、自分と相手——。
店長という立場は、いつも“板挟み”に見えるかもしれません。
しかし、易経が教えるのは「どちらでもない第三の道」。
極端に走らず、調和とバランスを取る力が真のリーダーをつくるという思想です。
「中庸」は“ちょうどいい”を見極める力。
第5章|「乾為天(けんいてん)」と「坤為地(こんいち)」:店長には“天”と“地”の両面が必要
易経の最初に登場する2つの卦(け)が「乾=天」と「坤=地」。
- 乾為天:創造、動き出す力、リーダーシップ
- 坤為地:受容、支える力、フォロワーシップ
店長はこの両方が必要です。
ときに先頭を切って動き、
ときに部下の声を受け止めて支える。
片方だけでは現場は回りません。
第6章|「君子は豹変(ひょうへん)す」:良いと思ったら、即変える
“豹変”と聞くと、ネガティブに聞こえるかもしれませんが、
本来の意味は「賢者は、良い変化を素早く受け入れる」という意味です。
店長も、状況の変化に気づいたら「昨日までのやり方」にこだわらず、スパッと変える勇気を持つべきです。
「今のやり方がベストか?」を常に見直す姿勢が、信頼を生むのです。
まとめ|変化を読み、軸を持って導く
易経は、現代の店長にもこう語りかけてくれます。
変化は避けられない。
だが、あなたが“軸”を持ち、“バランス”を取り、“潔(いさぎよ)く変われる”のなら、
現場は必ず整っていく。
古典は難しそうに思えるかもしれませんが、
その知恵は、現場で毎日悩む私たちにこそ必要なのかもしれません。
「易経」は、静かに、しかし確かに
リーダーとしてのあり方を導いてくれる一冊です。
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