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飽和市場でも勝てる理由|東北発「薬王堂」に学ぶ地方創生と顧客創造

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こんにちは!森友ゆうきです。

最近、新聞(たとえば日経MJや業界紙)を読む習慣をつけています。

最初は正直、わからないことだらけ。でも、読み続けていると少しずつ「これってこういうことか」と腑に落ちる瞬間が増えてきました。

すると、不思議と現場の出来事や、自分の店で起きている“ちょっとした変化”が意味を持って見えてくるんです。

今回ご紹介する薬王堂HDの成長戦略も、そんな新聞記事(4/30日経MJ記事)をきっかけに「これは知る力の塊だな」と感じたひとつ。

この記事では、その学びをもとに、飽和市場でも勝てる企業の条件を紐解いていきます。


第1章|チェーンストア理論を学ぶと“飽和”の意味が変わる

チェーンストア理論を学ぶと、市場の見え方が大きく変わります。

  • 「1店舗の成功」で満足せず、「多店舗で再現する」ことの大切さ
  • 標準化と分業による効率の最大化
  • 「点」ではなく「面」での出店戦略、いわゆるドミナント戦略

この理論を体現しているのが薬王堂HD。

彼らは岩手県を中心に、東北で徹底した面展開を仕掛け、人口の少ない地域でも着実に利益を積み上げています。

実際、薬王堂HDは2024年2月期決算で売上高2,540億円を突破し、店舗数も400店超へと拡大しました。

地方発でここまで伸ばせた理由は、「飽和」と言われるドラッグストア市場の中で、出店エリアと顧客価値の“ずらし”を徹底したからに他なりません。


第2章|地方にこそ「空白市場」が眠っている

薬王堂の戦略の核は、ドミナント型の地域密着出店です。

東北6県の出店数1位率(2025年2月 日経新聞より)
県名出店数1位の市町村割合
岩手67%
秋田49%
宮城46%
山形43%
青森44%
福島15%

都市部では飽和していても、地方には「まだ来ていない」「使いやすい店舗がない」エリアが多く残っています。

このようなエリアに、標準化された型で効率よく出店できるのが、チェーンストアの強みです。

では実際に、薬王堂HDの戦略をSWOT分析の視点で整理してみましょう。

薬王堂HDのSWOT分析(森友作成)

Strength(強み)Weakness(弱み)
・ドミナント戦略による物流・人員の効率化

・標準化された運営モデル

・地方での高いブランド認知と信頼

・都心部での認知度・競争力はまだ低い

・利益率の源泉がPB商品に偏っている

・地域密着型ゆえに全国スケールに弱い側面

Opportunity(機会)Threat(脅威)
・買い物弱者対策としての調剤併設型の伸長

・首都圏・中部圏など空白エリアの開拓

・自治体連携や健康支援など公共性ニーズの高まり

・ドラッグストア市場の全体的な飽和感

・競合のM&A再編や価格競争の激化

・人材不足と物流コスト上昇による構造的圧力

SWOT分析から見える課題と伸びしろ

薬王堂の強みは、何といっても「地方発・地域密着」の徹底ぶりにあります。

しかしその強みは裏返せば、都市部や全国展開においては“伸びしろ”とも言える「弱点」となりえます。

特に課題となるのは、都心部でのブランド認知と競争力不足です。

この弱みを克服するためには、次のような対策が考えられます:

  • 調剤×日用品のハイブリッド店舗で、差別化された来店理由をつくる
  • 都市型ミニ店舗や宅配モデルなど、生活動線に寄り添う新業態の開発
  • 都心ユーザー向けにPB以外のプレミアム商品ラインや健康サポート施策を強化

一方で、公共性を帯びた「健康インフラ」機能を強化できれば、都市部でも独自ポジションを築く可能性は十分にあります。

“地方発”というアイデンティティを活かしつつ、都市型モデルに挑む。

ここに薬王堂の次なる成長ストーリーが見えてきます。


第3章|出店の“型”を磨いて再現性を高める

薬王堂は、毎年50店前後の出店を続けています(日経新聞より)。

その背景には、徹底的な標準化と業務の分業設計があります。

  • 出店判断はデータベース化された商圏分析に基づく
  • 店舗オペレーションはマニュアルとシステムで標準化
  • 地方でも人手に依存せずに“再現”できる設計

1店舗で成功して終わりではなく、何店舗でも同じ水準で運営できることが拡大のカギなのです。


第4章|都市部への展開は、顧客理解の深さがカギを握る

薬王堂は、今後関東エリアでの高速出店を計画しています。

調剤×生活密着×DX型のオールインワン店舗で、都市部でも「価値を再設計」したうえで挑戦しています。

  • 高齢者比率の高いエリアで調剤機能を強化
  • 子育て世代が多いエリアでベビー用品を強化
  • 競合が多い地域では“待ち時間の短さ”を訴求

都市部の攻略も、もはや“勢い”や“人海戦術”では通用しません。
必要なのは、顧客が何を求めているのかを深く理解する力です。
その理解をもとに、価値を届ける戦略こそが差別化を生むのです。


第5章|飽和市場に見える「隙間」を見抜く視点

  1. 再現性ある仕組みをつくり、エリアを横展開する
  2. 地方にはまだ手つかずの商圏が多く眠っている
  3. 都市部にも地域特性に合った対応が求められる
  4. 「飽和している」と思われる中にも、伸びる余地がある

薬王堂HDの成長は、ただの“地方発チェーンの拡大”ではありません。
それは、市場のすき間を見抜き、確実に形にしてきた積み重ねの結果なのです。


第6章|ドラッカーの「顧客の創造」が地方チェーンを成長させる

企業の目的は、顧客の創造である。——ピーター・ドラッカー

薬王堂は、

  • 買い物難民の高齢者にとっての“救いの場”を創った
  • 調剤×日用品で「便利だから行こう」と思わせた

つまり、「店舗を作った」だけでなく、「ニーズを掘り起こし、顧客そのものを創造した」のです。

この力は、現場の観察から始まり、仕組み化を通じて全店に広がっていきました。
お客様と地域の変化を見つめる姿勢こそが、新しい価値の出発点なのです。


第7章|薬王堂が教えてくれた、地方チェーンの未来

薬王堂の成長は、ただの「成功した地方企業」ではありません。

それは、人口減少や市場飽和といった逆風の中でも、“地域を豊かにする”という使命を貫きながら、顧客を創造してきた実例です。

高度な戦略や技術よりも、彼らが一貫してきたのは「地域を深く理解する力」。
誰に、どこで、何を届けるか——それを愚直に、そして理論に裏打ちされた仕組みで実行してきました。

薬王堂のように、地方に根を張りながら、理論を武器に拡大する企業は、これからの日本にとって希望です。

もしかしたら、敢えて都市部に攻めないという戦略もありではないかと思います。

東北が主戦場ですが、日本にはまだまだ地方の暮らしが不便なままである地域も山ほどあります。

都市部はイオンに任せて、地方の王者を目指して欲しいのが私の勝手な希望です。

あなたはどのように思いますか?

このブログが、あなた自身の「考えるきっかけ」、そして「理論をつくる一助」になれたら幸いです。

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