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”現役店長育成講師”が伝授|店長の魅力を高める「6つの力」

「リーダーシップ」「人材育成」など店長職に関連する、日々の仕事に必要な力を6つに分類しました。
あなたの店長力を伸ばしたいとき、気になる力からぜひご覧ください。

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坪当たり売上高を“下げる”と会社規模が拡大する⁉なぜ繁盛店ほど多店舗展開できないのか?

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こんにちは!森友です。

「坪当たり売上高を上げよう」

これは、小売現場でよく聞く目標です。

でも、もしあなたが“チェーンとして拡大”を考えているのなら、
この指標が思わぬ落とし穴になるかもしれません。

今回は、「坪効率が高すぎる店ほど、店舗拡大の足かせになる」という逆説について、
大手小売業でチェーンストア理論や店長育成講師をしている森友の視点からお伝えします。

坪効率が高い店ほど“イレギュラー”になる

たしかに、坪当たり売上が高い店舗は“優秀”に見えます。
しかし、その裏では――

  • 売上に比例して、作業量やレジ対応が膨らむ
  • ピーク時間の稼働が他店と比べて重い
  • 作業割当が「その店だけ特殊」になりやすい

つまり、店舗オペレーションが“個別対応”になってしまうのです。

「平均化」は、チェーン運営の前提条件

チェーンストア理論の基本は、「標準化」です。
作業割当表、稼働計画、発注ロジックなど、すべてが「再現可能」であることが求められます。

ところが、坪効率が高すぎる店舗が存在すると――

  • 他店舗と同じ作業割当では回らない
  • 応援・異動・人材育成が難しくなる
  • 他店舗のベンチマークにできない

結果として、全体最適ではなく「特殊解」を抱えた不安定な組織になってしまいます。

繁盛店は多店化しにくい|ラーメン屋の例に学ぶ

「行列ができるラーメン屋」は、なぜ1店舗だけなのか?

これはよくある疑問ですが、理由は明快です。

  • 店主の技術とこだわりで成り立っている
  • 毎日味が変わる“手作り型”のオペレーション
  • 店舗の設計も現場スタッフも属人化している

つまり、再現性がないのです。

逆に、チェーン展開しているラーメン店(例:日高屋・幸楽苑・丸源ラーメン)はどうでしょうか?
味、提供工程、調理時間、座席レイアウト、価格帯まで――
すべてが「誰でも再現できる仕組み」に落とし込まれています。

特に日高屋は、ラーメン単体ではなく「中華の定食型業態」に展開の軸を置き、
回転率や調理負荷、人材育成に至るまで“現場に負担をかけない仕組み”が徹底されています。

  • 麺の茹で時間もマニュアル化
  • 定食と組み合わせることで粗利コントロール
  • 駅近物件+深夜営業で“立地依存”を逆手にとる戦略

行列ができることは、店主にとっては嬉しいことでしょう。
「これだけ繁盛している」と安心感も得られるはずです。

しかし、チェーンストアの考え方は真逆です。
行列ができないように、あえて近くにもう1店舗を出して“分散させる”。
それが、お客様の利便性と企業の利益を両立させる方法なのです。

店舗拡大を見据えるなら、「ちょっと物足りない」くらいがちょうどいい

チェーン展開の成功企業は、あえて“平均的な店舗”を基準に業務設計をしています。

  • ワークを詰め込みすぎない
  • 売れ筋だけでなく、育てる商品も置ける余白
  • すべてのスタッフが標準通り動ける設計

結果、どの店でも同じように回るオペレーションができ、拡大に耐える組織が生まれます。

まず“広くつくる”ことから始まる|プロトタイプ設計の考え方

小売業でチェーン展開を目指す場合、最初にやるべきは「狭い店で坪効率を上げること」ではありません。
むしろ、先に“広い店”をつくり、そこから標準の売上モデルを構築することが重要です。

たとえば――

  • 1000坪の実験店舗で売場を広げ、回遊性や商品数を検証する
  • 2000坪まで拡張しても、オペレーションが破綻しないかを試す
  • 1年間のデータから「一坪あたり年間売上高100万円」などの標準指標を設定する

この「標準坪効率」を会社として定めることで、ようやく次の問いが明確になります。

この坪効率を実現するには、どんな商品設計・人員配置・作業割当が必要か?

つまり、売上を上げる方法を考えるのではなく、
最初に“どんな状態を再現したいか”を決め、そのための仕組みを構築する。

これがチェーンストア小売業の基本思想です。

最後に|“理想の1店舗”より、“再現できる100店舗”をつくろう

坪当たり売上高は、小売業にとって大切な指標です。
けれど、高すぎる坪効率は、時に現場を追い込み、
チェーン展開を難しくしてしまうことがあります。

多店舗化を目指すなら必要なのは、
「一部の繁盛店」ではなく「誰でも再現できる仕組み」。

  • あえて平均的に整えることで、現場が回りやすくなる
  • 最初に広い店で検証し、“標準坪効率”をつくる
  • そこから逆算してオペレーションを設計するのが王道

行列ができるお店は素晴らしいですが、
チェーンストアとしての成功はまた別の形をしています。

もし今、店舗を増やすことをお考えてなら――
「再現できるかどうか」という視点を、一度持ってみるのもいいかもしれません。


森友ブログ|チェーンストア理論シリーズを読む

店舗運営を“再現可能な仕組み”で支える考え方は、実は日本にも深く根づいています。
その基盤となるのが「チェーンストア理論」です。

なぜ標準化が必要なのか?
店舗数が増えると、何が難しくなるのか?
現場と本部は、どうすればかみ合うのか?

そんな問いに答えるヒントが詰まった連載はこちらです:

→ チェーンストア理論シリーズ|現場と戦略をつなぐ知恵

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