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ROEランキング|年間売上高1,000億円以上の小売企業(2025年6月時点)
順位 | 企業名(証券コード) | ROE(%) | 年間売上高(億円) | 決算期 |
---|---|---|---|---|
1位 | ファーストリテイリング(9983) | 20.5 | 25,000 | 2025年8月期 |
2位 | セブン&アイ・ホールディングス(3382) | 11.5 | 114,717 | 2025年2月期 |
3位 | ローソン(2651) | 10.2 | 28,918 | 2025年2月期 |
4位 | しまむら(8227) | 9.0 | 5,700 | 2025年2月期 |
5位 | ニトリホールディングス(9843) | 8.3 | 9,289 | 2025年3月期 |
6位 | イオン(8267) | 7.8 | 95,535 | 2025年2月期 |
7位 | ヨドバシカメラ(非上場) | 7.0 | 6,000 | 2025年3月期 |
8位 | ビックカメラ(3048) | 6.5 | 8,000 | 2025年8月期 |
9位 | ヤマダホールディングス(9831) | 6.0 | 15,000 | 2025年3月期 |
10位 | ドン・キホーテ(7532) | 5.8 | 16,000 | 2025年6月期 |
11位 | 高島屋(8233) | 5.5 | 9,000 | 2025年2月期 |
12位 | 三越伊勢丹ホールディングス(3099) | 5.2 | 10,000 | 2025年3月期 |
13位 | ユニー(非上場) | 5.0 | 10,500 | 2025年2月期 |
14位 | 西友(非上場) | 4.8 | 11,000 | 2025年12月期 |
15位 | 良品計画(7453) | 4.5 | 4,500 | 2025年2月期 |
こんにちは!森友ゆうきです。
今日は少しだけ“経営の数字”の話をしましょう。
「ROE(自己資本利益率)」という指標、聞いたことはあると思います。
これは、会社がどれだけ効率よく利益を出しているかを見る数字です。
えっ、それって本部の人が見るやつじゃないの?
いえいえ、実はこのROE、現場の店長にも深く関係する指標なんです。
この記事では、ROEの高い企業に共通する「現場の強さ」を読み解きながら、
店長が持つべき「導く力」や「知る力」につながる考え方をご紹介します。
1. ROEってそもそも何?|経営視点がある店長は強い
ROEとは「Return on Equity」の略で、日本語では「自己資本利益率」と言います。
つまり、株主(=会社の出資者)から預かったお金を、どれだけ効率よく利益に変えたかを示す指標です。
小売業界でROEが高い企業には、ユニクロを展開するファーストリテイリングや、セブン&アイ、しまむら、ニトリなどがあります。
これらの企業は「無駄のないオペレーション」「在庫の最適化」「スタッフ教育の仕組み化」といった点で、現場力がとても高いのが特徴です。
店長が意識するべきなのは、「ROEを見る経営者の視点を、現場にも持ち込めるか?」ということ。
この視点はまさに、店長がチームを導くための『導く力』にあたります。
数字は難しくありません。むしろ、売上・利益・在庫・人件費など、店長が日々向き合っている“あの数字”こそが、ROEに直結しているんです。
2. ROEが高い会社に共通する“現場の思考法”
では、ROEが高い企業の現場では、どんなマネジメントがされているのでしょうか?
- ユニクロ:徹底した作業標準と、毎週の売上・在庫分析。1枚の商品も「なぜ売れたか」を深掘りする文化。
- ニトリ:「製造物流IT小売業」として全てを自前化し一気通貫にした世界でも稀有な存在。店舗では毎週の観分判で現場から問題発見をする文化。
- しまむら:店舗ごとの裁量を抑えつつ、陳列・売場づくりのルールを整備して効率化。
つまり、売場は「感覚」で動かすのではなく、数字やデータに基づいて知る・判断する力が求められているのです。
これはまさに、店長にとっての『知る力』そのもの。
売上が良かった日、「なんとなく忙しかった」では終わらせない。
「なぜ売れたか?」「誰が買ったか?」「次は何を仕掛けるか?」を考える店長が、経営に強い現場をつくっていきます。
3. 経営はROEをどう活用しているのか?|ROIとの違いも押さえよう
ROE(自己資本利益率)は、経営者にとって“会社の稼ぐ力”を測る指標です。
具体的には「株主から預かったお金(自己資本)を、どれだけ効率的に利益に変えたか」を見ています。
たとえば、ROEが15%の会社は「100億円の自己資本で15億円の利益を出している」ことになります。
つまりROEは、“少ない資本でどれだけ効率的に儲けているか”を示すのです。
📘 ROIとの違いは?
ここで混同しやすいのが、ROI(Return on Investment:投資利益率)です。
ROEとROIの違いを簡単に整理すると、以下のようになります:
項目 | ROE(自己資本利益率) | ROI(投資利益率) |
---|---|---|
対象 | 会社全体(株主資本) | 個別の投資・プロジェクト |
目的 | 経営全体の資本効率を見る | 投資の採算性を測る |
使う人 | 経営者・株主・本部 | 本部担当者・商品部・現場責任者 |
たとえば「この什器導入のROIはどうか?」といった現場視点はROI。
「全社としてどれだけ利益を出しているか?」という経営視点はROEです。
本部社員であれば「ROIで判断し、ROEに貢献する」という流れを意識することが大切です。
4. 株主やアナリストはROEをどう評価しているか?
ROEは、株主や金融アナリストにとって“最重要指標のひとつ”です。
その理由は、ROEが直接「株主へのリターンの質」を表しているからです。
たとえば、同じ10億円の利益を出している会社でも、自己資本が100億円の企業と、50億円の企業では意味が違います。
前者のROEは10%、後者は20%。後者の方が、少ない資本で効率よく儲けているということになります。
株主から見ると、「この会社に投資してよかった」と思える指標こそがROEなのです。
📈 一般的な評価基準
- ROE 5%未満 → 資本効率が悪い
- ROE 8〜10% → 平均的・安定企業
- ROE 15%以上 → 高効率な優良企業
たとえば、ファーストリテイリング(ユニクロ)はROE20%超を継続し、
国内外の機関投資家から高く評価されています。
反対に、売上は多くてもROEが低い企業は、「利益を出す力が弱い」「効率が悪い」と見なされ、株価に影響することもあります。
店長や本部社員がROEの意味を理解しておくことは、会社の外部評価にもつながる“意識改革”になるのです。
5. 店長ができること、本部社員ができること|ROEは現場とつながっている
ROEというと「経営側の指標」と感じがちですが、実際には現場の行動ひとつひとつがROEに影響しています。
🧭 店長ができること
- 在庫を抱えすぎない:週次で在庫回転率を確認し、売れない商品は早めに見切る。
- 人件費を日ごとにチェック:売上と人員配置のバランスを毎週見直す。
- 売上の“理由”を知る:「売れた理由」「売れなかった理由」をスタッフと共有する。
- 店の利益=会社の利益と捉え、自店舗を経営する意識で動く。
こうした取り組みは、まさに「知る力」「防ぐ力」「導く力」の実践です。
🏢 本部社員ができること
- データに基づく販促提案:販促費や広告投資のROIを見える化し、効果的な支援を行う。
- 店舗間で仕組みを共有:高ROE店舗の事例を水平展開し、組織全体の効率を底上げ。
- 現場が“経営視点”を持てるよう支援:店舗会議や評価制度に、ROE的な観点を導入する。
つまりROEは、“現場で変えられる指標”でもあるということ。
経営だけに任せず、全員が関わることで、会社はもっと強くなれます。
6. まとめ|ROEは「数字」で考える習慣を育てる
ROEは決して難しい話ではありません。
これは、「限られた資源で、どれだけ効率よく利益を出すか」という、現場にも深く関係する考え方です。
店舗の売上、粗利、人件費、在庫回転率——すべてがROEにつながっています。
つまり、あなたの毎日の判断が、経営の通信簿に数字として現れているのです。
そして、この記事でご紹介したように、ROEの考え方は
森友ブログでお伝えしてきた「6つの力」にも完全にリンクしています。
- 導く力:チームを効率よく導く
- 知る力:利益構造を理解し、行動に落とし込む
- 防ぐ力:ムダなコストを見抜く、店舗を資産を守る
- 変わる力:時代の変化に対応し、柔軟な現場をつくる
- 育てる力:数字を使って人を育てる仕組みをつくる
- 心の力:数字の裏にある想いを伝え、共有する
ROEを「自分の仕事に関係ない」と思っていた方こそ、この記事をきっかけに、
“経営に強い店長・社員”へと一歩踏み出してみてください。
数字が読めると、見える景色が変わります。
森友ゆうき