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選択的注意(カクテルパーティー効果)という認知科学で部下が動きだす方法

投稿日:2025年5月26日 更新日:

選択的注意(カクテルパーティー効果)という認知科学で部下が動きだす方法

こんにちは!森友ゆうきです。

カクテルパーティ効果、認知科学では”選択的注意”。

心理学でもおなじみの内容です。

もしかしたら「聞いたことはあるけど、どう使えばいいのかは分からない」人もいるかもしれません。

この仕組みを理解すれば、「伝えたのに伝わっていない」「指示したのに動かない」という現場の悩みを、根本から解消することができるようになります。

この記事では、店長、現場マネジャーとして今日からすぐに使える
“脳が反応する伝え方”の実践例をお伝えします。


第1章:部下が動かないのは、脳の仕組みを理解していないからかもしれない

店長の仕事は「指示を出すこと」ではありません。

“意識が向いていないところに、意識を向けさせる”こと。

それが本当の「指示」です。

人の脳は、目の前にたくさんの情報があっても、すべてを認識しているわけではありません。

あなたは、椅子に座ってこの記事を見ているのであれば、椅子にお尻が触れている感覚は意識しないと認識しないはず。でも意識をすると、椅子がお尻に当たる感覚を感じます。

自分に関係あると感じたとき、初めて脳がそれに“注意”を向けるのです。

この選択の仕組みを、認知科学では「選択的注意(Selective Attention)」と呼びます。

選択的注意(カクテルパーティ効果)とは、こういうことです。

真っ暗闇の中で、ハンディライトをひとつだけ灯す。
光が当たった場所だけが見える。
そこにいる人たちは、自然とその“光の先”を見ようとする。

それが脳の注意の仕組みです。

つまり、「どこに光を当てるか=どこに注意を向けてほしいか」

店長の言葉は、部下の意識(脳)に光を当てるライトなのです。


第2章:「カクテルパーティー効果」の由来

にぎやかなパーティー会場で、いろんな会話が飛び交っている中でも、誰かが自分の名前を呼ぶ声だけは、はっきり聞こえる──

そんな経験、ありませんか?

これは「カクテルパーティー効果」と呼ばれる心理現象で、人は“自分に関係がある”と判断した情報だけを、無意識に選び取っているのです。

つまり人間の脳は、見えていても、聞こえていても、「自分に関係ない」と判断した瞬間に、スルーするということ。

店長として部下に伝えるとき、この仕組みを知っているかどうかで、指示の通り方がまったく違ってくるのです。


第3章:「自分に関係ある」と感じたとき、脳は反応する

たとえばスタッフに「もっとお客様に声をかけて」と言っても、本人が“自分に関係ある課題”と認識していなければ、無意識に脳はスルーします。

逆に、「今日〇〇さんが声をかけたお客様、レジ前で“この人いいね”って話してたよ」

そんな具体的で“自分に関係ある”情報には、脳は自然と反応します。

指示とは、脳に「そこを見て」とハイライトを当てる行為。

人の注意は有限であり、それを動かすには、脳の仕組みと感情の反応を理解しているかどうかが鍵なのです。

第4章:「伝わらない指示」を“脳が動く言葉”に変える方法

店長としてよく使う言葉に、こんなものがあります。

  • 「売場をもっと見てください」
  • 「声かけを大事にしてください」
  • 「もっと気づきを持ってください」

しかし、これらは脳の注意をどこにも向けていないため、実はほとんど響いていません。

では、どうすればいいのか。鍵は“どこに意識を向けさせたいのか”を具体的に伝えることです。

1. 空間で意識を動かす

  • 「右側の売場は整ってるのに、ここから左の売場は乱れてるよね。」
  • 「冷ケース前、立ち止まる人が多いけど、何が原因か気づいてる?」

2. 時間軸で注意を引き出す

  • 「夕方のピーク前30分、何を整えておくべきか意識してください」
  • 「開店10分前、最初に見るべきポイントは清掃用具が片付いているかです。」

3. お客様視点を借りる

  • 「今日レジ前で迷っていたお客様がいたけど、どこが分かりづらかったのか気付いた人いますか?」
  • 「この夏の暑い時期に、お客様は何を求めに当店にきたのかな?」

4. データ・変化を手がかりにする

  • 「この棚、昨日より●個多く売れてる。」
  • 「今週だけ売上が落ちてる分類は何ですか?」

5. 比較によって思考を促す

  • 「昨日と今日の売場の違い、3つ探してみて」
  • 「Aさんの報告書とBさんの報告書、優れているのはどこ?」「修正すべきは何?」

“今・ここ・自分”のどれかが入っていれば、脳は反応する。

つまり、部下に動いてほしいなら、曖昧な一般論ではなく、「具体的な焦点」を指し示すこと

これこそが、脳を動かす言葉であり、現場で使える“再現性ある指示”なのです。

まとめ:伝えるとは、脳のスイッチを押すこと

部下が動かない理由は、やる気がないからでも、能力がないからでもありません。

「この話、自分に関係ある!」と脳が判断できていない。

それだけです。

人の脳は、無関係だと判断した情報をスルーします。

だからこそ、伝える側が「そこに注意を向けてほしい」という意図を、
空間・時間・お客様・データ・比較などの具体的な形で、明確に示す必要があるのです。

そして、その意識の切り替えを支えるのが、今日ご紹介した
「選択的注意(カクテルパーティー効果)」という脳の仕組みです。

伝える=脳のスイッチを押すこと。

現場で部下に伝えるすべての言葉が、
「自分に関係ある」と感じてもらえる表現になっているか。

ぜひ明日の売場ではなく、今日の一言から、意識してみてください。

あなたの言葉の力は、今日から劇的に変わるはずです。


森友ゆうき

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