こんにちは!森友ゆうきです。
「このままだと売れません。お客様の反応も鈍いです」
そんな現場の声があっても、本部がすぐに動いてくれるとは限りません。
現場の“肌感”だけでは、説得力が足りないからです。
でも、もしそこに「客観的な数字」が加わったら?
その声は“データを伴った提案”として、本部を動かすきっかけになるかもしれません。
この記事では、現場の声を数字で後押しする方法として、
「消費者態度指数」「景気ウォッチャー調査」の使い方を、
実際の企画提案にどう落とし込むかをわかりやすく解説していきます。
【最新記事の目次】
第1章|「声」は弱い。でも「数字+声」なら伝わる
本部には、日々たくさんの店舗から要望や報告が届いています。
そのなかで「今すぐ動こう」と思ってもらえる提案には、明確な“根拠”が必要です。
つまり、現場の声だけでは弱いのです。
では、どうするか。
そこに「お客様の気分を数値で示す指標」を添えればいいのです。
それが、消費者態度指数や景気ウォッチャー調査といった、毎月公表されている景況感の指標です。
たとえば、「最近、お客様の反応が冷たい」と感じたときに、
同時期の「耐久消費財の買い時判断」が落ちていたら、
それは「私たちだけじゃない。全国的にそうなっている」という証拠になります。
現場の“感覚”を、データで裏打ちする。
そのひと手間が、企画提案の通りやすさを大きく変えるのです。
第2章|どの指標をどう引用するか
「数字で裏付けを」と言っても、どこを見ればいいのか迷いますよね。
ここでは、2つの使いやすい景気指標を紹介します。
① 消費者態度指数(内閣府)
消費者が「これからの生活にどれくらい自信を持っているか」を数値化したものです。
特にチェックすべき項目はこの2つ:
- 耐久消費財の買い時判断
→「高いものを今、買おうと思えるか?」の目安になります - 収入の見通し
→「今後の収入は増えそうか?減りそうか?」という不安感を映します
50を下回ると「慎重」な空気。30前後だとかなり買い控えが強いと言われます。
② 景気ウォッチャー調査(街角景気)
タクシー運転手や小売・飲食のスタッフが「今の景気はどうか?」を答える、現場の声ベースの指標です。
注目すべきポイントは:
- 業種別の現状DI(小売・住宅など)
→ 自分の店舗業態に近い分野をチェック - 先行きDI
→ 1〜3ヶ月後の見通し。対策提案の根拠になります
DIとは? Diffusion Index=「指数化された景気判断」のことです。
第3章|提案書に使える“数字の貼り方”実践例
「景気指標を引用したいけど、どうやって入れるの?」
そんな方のために、企画提案書に使いやすい貼り方のコツを紹介します。
① たった1行の使い方でも十分
たとえば、POP強化や売場変更の提案書に、次のような一文を加えるだけでも印象は大きく変わります。
2025年4月の消費者態度指数「買い時判断」は24.2と低下。
→ 買い控え傾向が強まっており、無金利や即納訴求の強化が必要と考えます。
“感覚”ではなく、“数字”で語ることで、納得感が生まれます。
② 数値グラフを1枚資料にして添付
内閣府の指標ページにある折れ線グラフやDI推移をスクリーンショットして、企画書に1枚添えるのも有効です。
タイトル例:「最近の景気マインドと販売戦略の関係」
▶ おすすめフォーマット:
- 左:グラフ(出典明記)
- 右:提案ポイント3行(売場変更理由、想定効果)
③ エクセルに貼って加工してもOK
PDFを使わなくても、指標値だけエクセル表にして推移を並べる方法もあります。
たとえば、「買い時判断」の数値だけを3ヶ月分並べ、
「下がっている」傾向を可視化して説明するだけでも、グラフより伝わる場合もあります。
→ 大事なのは見た目より、“意味づけ”です。
数字が語っている“空気感”を、提案書で一言補足する。
それだけで「納得を得る力」が格段に上がります。
第4章|店長・SVが“起案力”を高める3つの工夫
景気指標を見つけて終わりではありません。
それを「現場の言葉」として、どう本部に伝えるかが大事です。
ここでは、店長やSVが“起案力”を高めるための3つの視点を紹介します。
① 数字の引用に「一言の意味づけ」を添える
ただ数字を並べるだけでは、伝わりません。
「なぜこの数字に注目しているのか?」を一言で補足すると、企画の説得力が一段と上がります。
例)「買い時判断」が24.2まで下がっています。
→ 今は“買いたい”より、“買っていいのか不安”という空気です。
② お客様の声とセットで伝える
現場で聞こえた“生の声”は、本部が聞きたい情報です。
そこに「だから、この数字とつながっている」とつなげれば、提案がリアルになります。
例)「最近、高いのはまた今度って人多いです」→「買い時指数の下落と連動してます」
③ 提案は「変化」を前提に
景気が変化しているなら、売場や打ち出しも“変わって当然”。
その変化を読む視点が、提案に込められていると本部の反応が変わります。
例)「去年と同じ構成では厳しい」「数値的にも生活防衛意識が高まってます」など
起案は、“正解”を出すことではありません。
空気を読み、根拠をもって声をあげる。それが動き出しの一歩になります。
まとめ|数字で補強された“声”は、動かせる
「お客様の反応が変わってきた」「このままだと売れないかもしれない」
現場でそう感じたとき、それを“声”として本部に届けることはとても大切です。
ただし、その声に数字という“補強材”が加われば、
その提案は“動かす力”を持った企画になります。
消費者態度指数や街角景気は、
難しい経済学ではなく、「今のお客様の気分」を見せてくれる道具です。
たとえ完璧な資料でなくてもかまいません。
数字を使って伝えようとする姿勢が、「伝わる提案」への第一歩になります。
現場の空気と、数字の補助線。
両方をつなげた提案こそが、これからの店舗を変える原動力になるはずです。