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【有料級】販売心理テクニック大全|お客様の“迷い”を消す7つの接客話法

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こんにちは!森友ゆうきです。
接客の現場でよくあるのが、「もう一歩で決まりそうなのに、お客様が迷っている」あの瞬間。そんなとき、ただ情報を足しても決断につながらないことがあります。大切なのは、お客様が自分で「納得して選べる」心理的な後押しをしてあげること。今回は、現場で実際に効果のある「接客心理テクニック」を7つ、実例つきで紹介します。

【最新記事の目次】

第1章|時間価値効果

時間価値効果とは?

同じ商品・同じ価格でも、「今すぐ使えること」自体に価値があるという心理的傾向です。別名で「先行利益効果」や「即時効果バイアス」とも表現されます(同じ意味です)

人は「未来の利益」より「現在の利益」に強く反応しやすいため、時間の早さが価値に転換されるのです。
同じ価格でも、「今日から使う」のと「半年後に買う」のでは、得られる利益が大きく違います。この“差”を感じてもらうことで、お客様の中に「早く使った方が得」という感覚が生まれます。

■ 事例:ソファの販売

「週末からお家でこのソファで寛げるって、いいですよね」

「来年購入されたとしても金額が安くなることはないですし、その分使えない期間が勿体ないですからね…」

→ 「生活が変わるタイミングが早まる」こと自体が価値になることをアピール。

■ 事例:高級美顔器の販売

「この美顔器を半年後に買うのと、今日から使うのとでは、肌の変化に半年の差が出ます」

→ このように“リードタイム”を伝えることで、価格の価値が「未来の差」として伝わります。

藤本美貴さんCMでの時間価値効果の例

最近のCMで、藤本美貴さんがこんな問いかけをしていました。

「今の10万円と10年後の10万円、どちらが大切ですか?」

これは、経済学でいう「お金の時間価値(Time Value of Money)」をわかりやすく伝えたメッセージです。

同じ金額でも、“今使う”ことで得られる効果や利益は、時間とともに膨らんでいきます。

藤本美貴さんのCMと美顔器販売を融合したトーク例:

「この価格は、半年後(10年後)の肌に“差”がつく時間の先行投資なんです」

このように、“今”という時間に価値があると伝えられれば、高額商品も納得されやすくなります。

価格だけで勝負するのではなく、「いつから未来が変わるか」に焦点を当てることが、お客様の背中を自然に押す接客につながります。

■ 事例:ドラム式洗濯機

「明日から洗濯物干しの時間が減ったら、その分、自由時間が増えますよ」

→ 家事時間の削減=“毎日のゆとり”を先取りできると伝えることが、先行利益です。

補足視点:「価格」ではなく「得られる未来」を伝えるのがポイントです。

第2章|アンカリング効果

アンカリング効果とは?

アンカリング効果とは、最初に提示された数値や情報(アンカー=錨)が、後の判断や評価に強く影響を与える心理現象です。

人は無意識に「最初に見た基準(アンカー)」を基点にして、その後の価値や価格を比較・判断してしまいます。

最初に見せた価格や商品が“基準”となって、その後の判断に影響するのがアンカリング効果です。

たとえば最初に30万円の冷蔵庫を見せてから、20万円のモデルを紹介すると、20万円が“お得”に感じられます。

■ 事例:ドライヤーの比較

「こちらは最新モデルで、静音と速乾に優れていて3万円。ですが1つ前のモデルでも風量は十分で2万円です」

→ 比較対象があることで、2万円の価値が“納得できる選択肢”に変わります。

■ 事例:スーツの販売

「仕立てがいいラインは7万円〜ですが、こちらの5万円のモデルは、その作りの要素を一部引き継いでるんです」

→ 高価格を先に出すことで、その後の価格が“相対的に安く感じられる”構造です。

補足視点:アンカリング効果

できれば、お客様が安い価格帯の商品を見る前に、高い価格帯の方に一度誘導できれば単価UPの可能性が高まります。入店早々に相談から始まるタイミングがあればそれがベストです。

お客様が先に見ていた商品が安い価格帯の商品の場合、急に高い商品を見せればお客様は、不安になります。その場合は、ムリに高単価に持っていかないことも必要です。

事前にネットで調べてくる時代では、既にアンカリングが発動しているのかもしれませんね…

第3章|損失回避バイアス

損失回避バイアスとは?

**損失回避バイアス(Loss Aversion Bias)**とは、
人は「得をすること」よりも「損をしないこと」を強く重視するという心理傾向のことです。

これはノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマンらが提唱した「プロスペクト理論」に基づくもので、
同じ金額でも「得をする喜び」より「損をする痛み」のほうが約2倍大きいと言われています。

お客様が迷っているとき、「このままだと損してしまうかも」という情報が判断を後押しします。

■ 事例:高級美容液

「今のお手入れを続けると、シミやくすみの原因が蓄積されてしまいます」

→ 「今より良くなる」よりも、「これ以上悪くしない」ことを伝えると心が動きます。

■ 事例:冷蔵庫の入れ替え

「電気代、10年間で2万円以上違うんですよ…今お使いの冷蔵庫だとずっと高コストになります」

→ コストの“損”に気づいた瞬間、買い替えの価値が明確になります。

補足視点:損失回避バイアス

ポイントは、“恐怖”ではなく“気づき”を与える言葉にすること。脅すのではなく、「今のままが一番損ですよ」とやんわり伝える設計です。

”やんわりと”ですよ。

第4章|バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは?

バンドワゴン効果とは、「みんなが買っている・使っている」ものに自分も価値を感じ、欲しくなるという心理現象です。

名前の由来は、「楽隊車(バンドワゴン)に人が次々と乗り込む」様子からきており、多数派に流される同調行動の一種です。

特に迷っているとき、他者の選択が判断材料になります。

■ 事例:人気家電

「このモデル、うちのお店でも売上No.1なんです」

→ 一番売れている、という情報が「間違いない商品」という印象をつくります。

■ 事例:アパレル・新生活シーズン

「春先はこのシリーズが一番動きます。みなさん新生活用に選ばれてますね」

→ 季節やタイミングに合わせて、他の人と同じ選択をする安心感を演出できます。

補足視点:バンドワゴン効果

「みんなが選んでいる」という心理で動く人は多いと思います。SNS口コミや評価点、視聴しているユーチューバーのオススメ。

接客を受けてる時にさらりと「みなさんこちらを利用されていますね」という言葉を織り交ぜて話されたことありませんか?

言い過ぎると「気に障る」ので、”さらり”がポイントです。使うタイミングは1度です。

第5章|希少性の原理

希少性の原理とは?

**希少性の原理(Scarcity Principle)**とは、
人は“手に入りにくいもの”“数が少ないもの”により大きな価値を感じるという心理効果です。

「数量限定」「期間限定」「残りわずか」などの訴求が、この心理に働きかけます。
根底には「無くなるかもしれない=損したくない」という損失回避バイアスも関係しています。

人は“手に入らなくなる”と思ったとき、判断が加速します。これが希少性の心理効果です。

数量や期間に限りがあることを伝えることで、「今買わないと損」という気持ちが生まれます。

■ 事例:展示現品の家具

「この色は現品限りで、今後の入荷予定がないんです」

→ 残りが限られている、最後の1品という情報が、「今決める」理由なります。

■ 事例:期間限定キャンペーン

「このキャンペーン、今週末までなんです。来週からは対象外になります」

→ 行動を促す“締切効果”として希少性はとても強力です。

補足視点:希少性の原理

「この商品売れてます」「お客様にとって必要では?」と訴える購入する価値を提案することも大事な話法ですが、「数量が限られる」、「本日を逃すと通常より納期に時間が掛かる」可能性があることを含ませることで、お客様の“自分ごと化”が加速します。

第6章|サンクコスト効果

サンクコスト効果とは?

**サンクコスト効果(Sunk Cost Effect)**とは、
すでに支払ってしまったお金・時間・労力を“もったいない”と感じ、合理的ではない判断をしてしまう心理現象です。

「サンクコスト(埋没費用)」= 取り戻せない過去の投資
→ 本来は意思決定に影響を与えるべきではないのに、それに縛られてしまう。

人は、時間・労力・お金をすでにかけたものを“取り返したくなる”心理があります。これがサンクコスト効果です。

検討を重ねた商品ほど、「買わなきゃ損」と感じるようになるのです。

■ 事例:何度も見に来たテレビ

「既に3回も来ていただいてますよね。それだけ考え抜いて選ばれてると思います」

→ 過去の行動を認めることで、お客様の“決断理由”が整っていきます。

■ 事例:長時間悩んだ冷蔵庫

「ここまで検討された時間があるからこそ、自信を持って選んで大丈夫です」

→ 決断を“後押し”するより、“正当化”してあげる意識が鍵になります。

補足視点:お客様の努力を認めることで、「買ってもいいかも」が「ここまで考えたんだから買おう」に変わります。

アメトーク徳井の名言「買いたい時が買い替えどき」

「まだ使えるけど、なんとなく買い替えたくなってきた」
そんなとき、お客様は“買う理由”より“やめる理由”を探してしまうものです。

ここで効くのが、テレビ番組『アメトーーク!』の人気企画「家電芸人」で、チュートリアルの徳井義実さんが発した名言、
「買いたい時が買い替えどき」というひと言。

このフレーズには、ここまで学んだ以下の購買心理が働いています:

  • 損失回避バイアス:「今買わないと逃すかも」という感覚
  • サンクコスト効果の打破:「まだ使える=捨てるのがもったいない」を超える動機づけ

販売現場では、こんなふうに活用できます:

「迷われてますよね。でも、“買いたい”と思った今が一番のタイミングって、おっしゃる方多いんですよ。
昔、家電芸人の徳井さんも“買いたい時が買い替えどき”って言ってましたしね。」

笑いを交えながら、感情に寄り添うフレーズとして提案するのがポイントです。

“迷い”の正体は理屈ではなく「これでいいのかな?」という感情です。
そんな時こそ、心をやわらかく押すような言葉が効くのです。

第7章|最終奥義 「テストクロージング」

「買うかどうか、迷っている」そんなお客様に、無理をせず自然に背中を押すのが、接客の最終奥義「テストクロージング」です。

たとえば「納期だけ確認してきてもよろしいですか?」と一度カウンターへ離れる。その間、お客様はお連れ様と相談したり、一人でじっくり考える時間を持つことができます。

そして戻ってきたとき、「今週の土日、どちらか配送できますよ」と伝えると、いつの間にか購入を後押しする流れができている——。これは心理効果がいくつも重なった、自然な購買導線です。

もっと深く分解すると次の3つの心理効果が含まれます。

テストクロージングの心理効果を分解

■ ザイガルニック効果

「納期確認」の中断により、お客様の頭の中に“買うかどうか”の意識が強く残ります。一度会話が止まるからこそ、そのテーマに対して考える時間が生まれるのです。

■ 認知的一貫性の原理

「わざわざ納期を調べてもらった自分」「真剣に悩んでいる自分」に、お客様自身が納得したくなります。

■ 自己決定感の形成

お客様が一人で考える時間を持つことで、「売られた」ではなく「自分で決めた」と思えるようになります。

■ テストクロージングは“買わないサイン”を見極める技でもある

テストクロージングは、「買わせる技術」ではなく、“買うかどうか”を測るための”テスト(試金石)”でもあります。

納期を確認し、その後の反応が曖昧だったり、明らかにテンションが下がった場合、それは「買わない」というサインです。

そして、この奥義は、お客様をコントロールする技術ではありません。お客様の意思決定を尊重し、自然な流れをつくる“設計”です。

納期確認という一手が、お客様の心を動かし、決断へと導いてくれるのです。

中々決まらないな‥、時間かかるな‥と思った場合は、納期や何かを調べることをを理由に、勇気を出して一度その場を離れてみてください。

そして戻った時に何らか、お客様にとってポジティブなことを伝える。これでテストができます。

買ってもらうことだけが正解ではありません。「買わない選択」を尊重できる接客が、次の来店や口コミにつながる“長期的信頼”を生みます。

まとめ|「買ってもらう」ではなく「納得して選んでもらう」ために

ここまで紹介してきた7つの購買心理テクニックは、どれも「お客様を操作する」ためのものではありません。

むしろ、“お客様自身が納得して選べるようにする”ための接客技術です。

強引に背中を押すのではなく、「考える時間をつくる」「理由を言葉にする」「選べる空気をつくる」。

その一つひとつが、お客様の決断に安心と納得を与える道筋になります。

7つの心理効果を振り返ってみましょう。

  • 第1章|時間価値効果:「今から使う」ことの価値を伝える
  • 第2章|アンカリング効果:比較によって印象を整える
  • 第3章|損失回避:失いたくない気持ちを引き出す
  • 第4章|バンドワゴン効果:「みんなが買ってる」という安心感
  • 第5章|希少性:「今だけ」「残りわずか」が行動を促す
  • 第6章|サンクコスト:これまでの検討を肯定する
  • 第7章|テストクロージング:お客様の中にある答えを引き出す

■ あなたが使いたいのは、どのテクニックですか?

使っていないものがあれば、それを試してみてください。

「この商品お薦めです!」「お似合いですね!」など背中を押すことも一定の効果はありますが、このパターンだけでは、お客様の多様な“迷い方”に対応できません。

なぜなら、お客様のタイプや状況によって、響く言葉が異なるからです。

エピローグ:これらを知ることで”あなたを守る”ことに繋がる

ここまで紹介してきた7つの購買心理テクニックは、いずれもお客様の背中をそっと押すための「心のスイッチ」です。

これらの手法は、販売する側が悪用すれば“誘導”になりますが、お客様の迷いを減らし、後悔のない選択を支えるために使えば、立派な接客技術です。

そして大事なのは、販売する私たち自身がそれらの効果を“知っている”こと。

知っていれば、騙されずにすむ。
それはお客様にとっても同じです。

「これはアンカリングだな」「これは損失回避に訴えてるな」と自分で見抜けるようになれば、
お客様は押し売りに感じることなく、自信を持って選択できるようになります。

売る人も、買う人も、“心理”を知っていればもっと健全な関係が築ける。
そんな思いで、これらのテクニックをお届けしました。

あなたの接客が、より信頼に満ちたものになりますように。

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投稿日2025年5月6日|森友ゆうき

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