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なぜウォルマートは“青”?なぜターゲットは“赤”?配色に隠れた心理戦略
こんにちは!森友ゆうきです。
「このお店、なんか落ち着くな…」「あの売場は、なぜか買いたくなる」
その感覚、実は“色”がつくっているかもしれません。
今回は、色相環という色彩理論をもとに、アメリカの巨大小売業ウォルマートとターゲットの店舗戦略を読み解いていきます。
Transport Topics より画像引用
色相環とは?色の“感情マップ”を読む
色相環(しきそうかん)は、色を円状に配置した図です。これは単なるデザイン理論ではなく、人の感情や行動に影響を与える「心理マップ」でもあります。
- 赤:情熱・注目・衝動(例:セール、警告)
- 青:安心・信頼・冷静(例:銀行、Walmart)
- 黄:元気・明るさ・好奇心(例:子ども向け、POP)
- 緑:自然・健康・調和(例:ドラッグストア、ナチュラル系)
補色の力を活かすと、売場の印象が一気に変わる
色相環の反対にある「補色」は、互いを引き立てる強力なペア【メインカラーの反対岸にある色が補色】です。
例えば、青×オレンジ、赤×緑、黄色×紫――どれも派手な組み合わせに感じるかもしれませんが、適切に使えば視線誘導や商品訴求に抜群の効果を発揮します。
例:このブログのメインカラーはオレンジなので、補色を入れるなら青系になります。
つまり色相環とは、“感情を操作する色の設計図”。これを空間に応用することで、売場の「空気感」を自在に操れるのです。
ウォルマートはなぜ“青”を選んだのか?

Retail Leradersより画像引用
Walmartでは、店舗外観・看板・制服・カート・棚POPに至るまで、全てを“青”で統一しています。
青には「信頼感」「落ち着き」「広がり」を感じさせる効果があり、計画的な買い物を促すのに適した色といえます。
まとめ買いや日常品の大量購入を前提とした業態で、青は「長く・広く」買ってもらう空間を演出するのにぴったりな色なのです。
ターゲットが“赤”を選ぶ理由
ALO ALO Travelより画像引用
対するTarget社は、ブランド全体を「赤」で統一。入口の壁・看板・紙袋・ロゴ・什器まですべてが赤。
赤は「注目」「興奮」「スピード」を連想させる色で、“衝動買い”を後押しする色として活用されています。
特に、ライフスタイル雑貨・アパレル・限定商品が多いTargetにとって、赤は「つい手に取りたくなる空気感」を生む最強のカラーです。
IKEAは“青と黄”の補色コントラスト
IKEAの配色も色相環に基づいています。青=信頼・広さ、黄色=注目・明るさ。
この補色関係に近い配色は、強いコントラストで視認性を高め、記憶にも残りやすい店舗ブランディングを実現します。
外壁〜制服まで“色で整える”ことの効果
優れた店舗は、配色が一貫しています。外壁・床・什器・POP・制服・カートに至るまで「色が揃っている」と、統一感と安心感が生まれます。
配色の鉄則|3色以内でまとめよう
売場は、色が多すぎると「ごちゃつき」「チープ感」を与えがち。
- ベースカラー(床・壁・什器):白・木目・グレー
- メインカラー(ブランド色):青・赤・緑
- アクセントカラー(注目):黄・黒・オレンジ
この“3色ルール”を意識するだけで、売場の印象は見違えます。
日本とアメリカの「色の使い方」は違う
アメリカでは、色相環を戦略的に活用し、色の一貫性をブランド設計に落とし込んでいます。
一方、日本の多くの店舗では、POPがバラバラ、制服や棚が統一されていないなど、「色がブレている」ケースも目立ちます。
結果として、お客様に“雑多さ”や“チグハグな印象”を与えてしまい、購買意欲を下げる要因になることも。
これからの店舗設計では、「色=無言の接客」と捉え、売場の“空気感”づくりに活かしていく視点が欠かせません。
まとめ|色は、売場の設計図になる
ウォルマートが青を使うのも、ターゲットが赤を使うのも、すべては「買いたくなる空気」を演出するため。
色相環という「色の心理地図」を理解すれば、売場の印象も、お客様の行動も変わります。
色は、空気を操る“設計の道具”。
あなたの店舗でも、色の力を取り入れてみませんか?