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”現役店長育成講師”が伝授|店長の魅力を高める「6つの力」

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【チェーンストア理論シリーズ①】「ダイエー・松下戦争」に学ぶ小売革命の始まり

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【第1回|松下戦争 ― ダイエーと松下がぶつかった“流通の大転換点”】

チェーンストア理論 歴史から読み解く、今店舗運営に生きるシリーズ

こんにちは!森友です。

みなさん、「松下戦争」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、1970年代に起きた「ダイエー vs 松下電器」の一大流通戦争のこと。
この出来事は、チェーンストア理論の力を証明した歴史的事件であり、
私たちが店舗運営を考えるうえで今もなお学べることがたくさんあります

このシリーズでは、そんな歴史の中にある“理論の本質”を掘り下げ、
現代の現場にどう活かせるかを考えていきます。

第1章|渥美俊一とチェーンストア理論とは何か?

チェーンストア理論とは、「単品大量販売」「ローコストオペレーション」「標準化」などを通じて、
利益構造を根本から変える店舗経営の考え方です。

これを日本で体系化したのが、流通の神様と呼ばれた渥美俊一氏
彼はアメリカの先進的なチェーンストア(ウォルマート、Kマート、ターゲットなど)を研究し、
そのエッセンスを日本型の小売業に適応させました。

この理論のすごさは、単なる効率化にとどまらず、「理念」にまで落とし込まれている点にあります。
そして、この理論を日本で最も体現した企業のひとつが――ダイエーでした。

第2章|ダイエーの登場 ―「価格破壊」がもたらしたインパクト

~今はイオングループ傘下のダイエーだが、この歴史無くして小売業は語れません~

戦後の高度経済成長期、日本の消費者は「いいものを安く買いたい」というニーズを強めていました。
そこに現れたのが、中内功率いるダイエーです。

彼が掲げたスローガンは、あの有名な――
「よい品をどんどん安く」

これは単なるキャッチコピーではなく、まさにチェーンストア理論をベースにした思想でした。

  • 単品大量仕入れ
  • ローコストオペレーション
  • 自社物流網の整備
  • 本部主導の価格戦略

これらを駆使して、ダイエーはあらゆる商品で“価格破壊”を進めていきました。

第3章|松下戦争 ― メーカーと小売のぶつかり合い

ダイエーの次なるターゲットとなったのが、松下電器(現パナソニック)でした。
特に注目されたのが――テレビの販売です。

当時、松下は「ナショナルショップ」と呼ばれる街の電器店と密接な販売網を築いており、
価格統制と信頼関係でブランドを守っていました。

しかしダイエーは、松下製のテレビを大量に仕入れ、破格の値段で販売。
この行動に激怒した松下は、なんと――ダイエーへの出荷停止という強硬手段に出ます。

ところがダイエーは、ここで諦めませんでした。

「ならば、自分たちでテレビを作ればいい」

中内功を中心としたダイエーの執念により、自社でテレビを開発し、販売するに至ったのです。
これは、今でいうプライベートブランド(PB)商品の原点とも言える取り組みでした。

 

この大胆な挑戦を支えたのは、間違いなく――
チェーンストア理論に裏打ちされた信念と構造の理解だったのです。

第4章|この戦いが残した教訓

メーカーではない小売業”ダイエー”が執念で作ったテレビはこんな感じです。

この“松下戦争”は、ただのビジネス上の対立ではありませんでした。

  • 小売がメーカーに対してイニシアティブを持つことが可能であること
  • 標準化・大量販売・ローコスト運営の徹底が「自社開発」すら可能にしたこと
  • そして、理論と理念があれば、流通の常識すら変えられるという事実

チェーンストア理論が机上の空論ではなく、
“現実を動かす力”を持っていることが証明された瞬間でした。

第5章|チェーンストア研修講師としての私の視点

私は現在、チェーン店に所属する研修講師として、日々店長や若手スタッフに育成の機会を提供しています。
この「松下戦争」の話を知ったとき、私の中に芽生えたのは、誇りと実感でした。

なぜなら、当時のダイエーも今の私たちも、
「チェーンであること」を軸にした商売をしているからです。

  • 標準化はなぜ大事なのか?
  • PB商品はどう生まれるのか?
  • 理念がなぜ現場に必要なのか?

それらすべての問いに対して、チェーンストア理論は答えをくれます。
そして、その理論を“自分の言葉”で語れる講師であること――
それが、私の仕事の軸でもあります。

まとめ|歴史を知ることは、原点に立ち返ること

松下戦争は、価格やシェアを巡る争いではなく、
「理念 vs 理念」のぶつかり合いでした。

そしてその中で生まれたのは、今では当たり前になった考え方や商品たち。
私たちが今、チェーン店に立ち、現場を担う意味をあらためて考えさせてくれる――そんな出来事です。

次回予告|チェーンストア理論はまだまだ奥が深い

この「松下戦争」を皮切りに、本シリーズではさらに掘り下げていきます。

次回は、ウォルマートやターゲットといったアメリカ発のチェーンストアから何を学べるのか?
その原点に迫っていきます。

本シリーズは、「チェーンストア理論 歴史から読み解く今店舗運営に生きるシリーズ」として、今後も全5〜10回にわたってお届けしていきます。
現場で働く皆さんが、「だからこの仕事に意味があるんだ」と思えるような内容を目指して。
どうぞお楽しみに!


最後に、チェーンストア理論をさらに深く学びたい方に、1冊おすすめの本をご紹介します。

桜井多恵子さんの著書『チェーンストアの教科書』は、現場の視点と経営の本質が結びついた、まさに「今、読むべき教科書」です。

チェーンストアとは何か、なぜ標準化が必要なのか──
現場で働く人にも、組織をつくる人にも伝わる、実践的でわかりやすい内容が詰まっています。

このブログで紹介した内容とあわせて読むと、チェーン運営の「型」と「意味」が一層クリアになります。

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