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チェーンストア理論の限界と店舗運営のこれから

投稿日:2025年3月25日 更新日:

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チェーンストア理論の限界と店舗運営のこれから

1. チェーンストア理論とは?

チェーンストア理論とは、複数の店舗を効率的に運営し、統一されたビジネスモデルで拡大していく経営手法です。マニュアル化された業務、標準化された商品、効率的な仕入れなどを活用し、スケールメリットを最大化することが目的です。

この理論は、イオンやイトーヨーカ堂などの大手チェーンが成長するうえで重要な役割を果たしてきました。特定の成功パターンを確立し、それを全国・世界に展開することで、一貫した品質と低コストを実現できるのが強みです。

私が所属する会社も、チェーンストア理論に精通しています。トップがこの理論を愚直に学び続けた結果、大企業へと成長しました。もし、トップが個人の考えで経営していたら、数店舗の規模で終わっていたでしょう。チェーンストア理論を否定するつもりはありません。アメリカのウォルマートをはじめとした世界の小売企業が研究し続けているこの理論は、普遍的で今後も必要不可欠です。特に、店舗数が伸び悩んでいる企業や200店舗未満の規模の企業は、この理論を徹底的に学ぶべきでもあります。

2. チェーンストア理論の限界とは?

チェーンストア理論は、企業の規模拡大において強力な武器となります。しかし、一方で課題もあります。

① 現場の創意工夫が生まれにくい

チェーンストア理論では、現場の役割は「決められたルールを守ること」が優先されます。現場の社員が自ら考えて動くのではなく、本部が指示を出し、それに従う形が基本です。そのため、店舗ごとの個性や独自の工夫が発揮されにくく、地域ごとの特性に柔軟に対応できないケースも少なくありません。

私の会社でも、現場の社員に起案させる仕組みはありますが、本部を動かすほどの提案が通ることはほとんどありません。特に若手社員が本部に異動するまでは、店舗レベルでの改善はできても、組織全体を変えるほどの影響力を持つのは難しいのが現実です。

実際に私自身、現場での販促企画がうまくいった際、本部に「他店舗でも実施したい」と提案したことがありました。
ところが、「全店統一方針に反する」という理由で却下されてしまったのです。
現場で結果を出しても、それが活かされない…そのとき私は、「画一化の限界」を身をもって感じました。そのときは悔しさと無力感を感じましたが、現場の成果が本部に届かない構造自体にも課題があると気づきました。今は、研修講師として本部にいますので通らない理屈はわかる一方で、何とか打破できないかと模索しています。

② 「人」の管理が軍隊的になりがち

チェーンストア理論では、組織の効率性を重視するあまり、人材管理が画一的になりがちです。業務フローが細かく決められ、どの店舗でも同じ品質を提供できるようにするのは重要ですが、その一方で個々の従業員の特性や強みが活かされにくいのも事実です。

社員一人ひとりの個性を尊重するよりも、「誰でも同じ仕事ができる環境」を整えることが優先されるため、やりがいを感じにくくなり、モチベーションの低下につながることもあります。実際に私の会社でも、ルールに沿って働くことが求められるため、クリエイティブな発想やチャレンジが生まれにくいと感じる場面が多くあります。

③ 変化への対応が遅れがち

市場環境が急激に変化する現代において、柔軟性の欠如は致命的です。チェーンストア理論は「安定した運営」を前提に構築されていますが、その分、大きな変化に対して適応が遅れるリスクがあります。

例えば、DX(デジタルトランスフォーメーション)が求められる時代においても、マニュアル重視の体制が足かせとなり、最新技術の導入が遅れる企業も少なくありません。市場の変化に素早く対応するためには、現場の意見を取り入れ、柔軟な経営判断ができる仕組みが必要です。

3. これからの店舗運営に求められるもの

チェーンストア理論は、依然として重要な経営手法ですが、現代の店舗運営においては、その限界を理解し、新たな考え方を取り入れることが不可欠です。

① 現場の裁量を増やす

標準化を維持しつつも、現場の判断力を高める仕組みが求められます。例えば、データ分析を活用して店舗ごとに最適な施策を打つことや、現場の声を反映しやすい意思決定プロセスを整えることが有効です。

② 個々の成長を促す教育制度

単にマニュアル通りに動ける人材を育てるのではなく、課題解決能力や柔軟な発想力を持った人材を育成することが重要です。リスキリング(再教育)や、デジタルスキルの強化など、店舗運営の未来を担う人材の育成に力を入れるべきです。

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③ DXを活用した新しい運営スタイル

テクノロジーの進化により、AIを活用した需要予測や、リアルタイムの顧客分析が可能になっています。これらのツールを取り入れることで、より柔軟で効率的な店舗運営が実現できます。

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まとめ

チェーンストア理論は、効率的な店舗運営に欠かせない強力なフレームワークです。しかし、その一方で、現場の創意工夫を奪い、社員の成長機会を制限する危険性もはらんでいます。

「本部が決めたルールを守るだけの店舗運営」に未来はあるでしょうか? 店舗は生きています。地域の特性、客層、スタッフの個性——どれも同じ条件の店は一つとしてありません。だからこそ、現場で働く一人ひとりの力を最大限に活かしながら、チェーンストア理論をアップデートしていくことが、これからの店舗運営には求められます。

あなたの店舗は、指示待ちで動く組織になっていませんか?
本部の戦略を理解しつつも、現場の知恵を取り入れ、変化に対応できる強い店を作ることが、次世代の店舗運営における成功のカギとなるはずです。

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筆者プロフィール

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はじめまして。 このブログ「店長力向上のすゝめ」を運営している、森友ゆうきです。私はこれまで小売業・サービス業などの現場で、店長として15年以上の経験を積んできました。まず簡単に私の経歴をご紹介させて ...

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