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サンリオはなぜコラボを続けるのか?|新社長体制が導く“ブランド共創”の未来

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こんにちは!森友ゆうきです。

2020年、サンリオに大きな転機が訪れました。創業者・辻信太郎氏から、31歳の孫・辻朋邦氏へと社長のバトンが渡されたのです。

ハローキティを筆頭に長年“可愛い文化”を牽引してきたサンリオですが、この若き社長の就任をきっかけに、ブランド戦略が大きく動き出します。

それは単なる世代交代ではなく、「ハローキティの会社」から「多様なキャラクターで共感を届ける会社」への転換でした。

本記事では、新体制のもと進化するサンリオの“コラボ戦略”に注目しながら、大手小売チェーン「しまむら」「ダイソー」との”共創”にも迫ります。


第1章|“脱・キティ依存”という大胆な一手

かつてのサンリオは、言わずと知れた「ハローキティ」中心のブランドでした。その強さゆえに、逆にキティに頼らざるを得ない構造が長らく続いていたのです。

しかし、辻朋邦新社長が打ち出したのは、「キティ一強」からの脱却。サンリオ全体の魅力を再定義するプロジェクトでした。

具体的には、

  • キャラ別のSNS展開(クロミ公式TikTokなど)
  • グッズ展開の主役交代(シナモロール・ポムポムプリン)
  • IP(知的財産)としてのブランド育成

特に注目すべきはクロミの急成長です。

「かわいいだけじゃない」「毒っ気のある個性」「闇属性だけど共感できる」──そんな要素がZ世代の心をつかみ、TikTokやInstagramでバズ連発。キティと並ぶブランドの“柱”になりつつあります。

キティ一辺倒ではなく、推しが選べる時代。多様なキャラが多様なライフスタイルに寄り添う。それが今のサンリオです。


第2章|“コラボ”は接点づくりの装置

サンリオの進化を語るうえで外せないキーワードが「コラボ」です。ただし、これは単なるタイアップではありません。

「推しと一緒に生活できる」という体験を提供するための、戦略的な装置なのです。

たとえば――

  • ちいかわ × サンリオ: SNSでバズ化。人気キャラ同士の“掛け算”で双方のファン層にリーチ。
  • セーラームーン × サンリオ: 「おそろい衣装」でストーリー性のある商品展開。
  • Maison de FLEUR × マイメロ: 女性ファン向けに共感性の高いファッション雑貨を提案。

このように、コラボはファンとの新しいタッチポイントになります。

選ばれるブランドではなく、「持ちたい」「贈りたい」「飾りたい」ブランドへ。日常に“推しの存在感”を届ける仕掛けが、サンリオの武器になっています。


第3章|“語れる商品”が生き残る時代へ

今の消費者は、ただモノを買いたいのではありません。「意味があるから買う」「誰かに話したいから買う」という行動にシフトしています。

サンリオが仕掛けるコラボは、まさに“語れる商品”をつくる戦略です。

背景にあるストーリー。ブランド同士の世界観。自分の“推し”とリンクした喜び。そうした“心を動かす理由”が、購買と発信を促しているのです。

これはマーケティングでいう「共感の可視化」でもあり、SNS時代において非常に有効なアプローチです。

では、こうしたブランド共創は、どのように日常の売場へと落とし込まれているのでしょうか?
続く章では、私たちにもなじみの深い大手量販店とのコラボ戦略をひも解いていきます。

第4章|“日常にあるサンリオ”──しまむらとダイソーがつなぐ生活の中の可愛さ

サンリオのコラボ戦略が秀逸なのは、決して高級ブランドや限定ショップとの企画だけではないという点です。私たちの“日常の買い物先”として親しまれている大手小売チェーンとも積極的に共創を進めています。

しまむらとのコラボレーション

たとえば、「ファッションセンターしまむら」では、近年サンリオとの連続コラボが展開されています。

  • 平成コギャルシリーズ(2025年5月):キティ・マイメロ・クロミなどをギャル風にアレンジした話題作。
  • ヒョウ柄ルームウェア・寝具(2025年2月):個性派クロミファンに刺さるインパクトデザイン。
  • Choa Choaアパレル(2025年4月):パーカーやスカート、トレーナーなど、日常使いしやすいアイテム。

ダイソーとのコラボレーション

また、100円ショップの雄・ダイソーとも、サンリオは戦略的な連携を進めています。

  • キャラ文具・ジップバッグ・シールなどの定番品:デザインの可愛さと実用性で、子どもから大人まで幅広く支持。
  • 2024年「ポッピンサイダー」シリーズ:アメリカンダイナー風の世界観で全6種のサイダーを展開。
  • 2025年1月「マイメロ&クロミ周年記念グッズ」:ミニクリアファイルやコレクションガムなどコレクター心をくすぐる展開。

これらの事例は、サンリオがいかにして“ファンとの接点を生活圏内に増やしているか”をよく示しています。

「可愛い」だけではなく、「いつでも・どこでも・誰でも手にできる」こと。これこそが、今のサンリオの強みであり、“ブランド共創”をリアルな購買行動へと落とし込む力なのです。


第5章|コラボは“販促”ではなく“関係性”のデザイン

ここまでご紹介してきたように、サンリオが展開するコラボ戦略は単なる話題づくりや短期的な売上施策ではありません。

むしろ、

「あなたの生活に、そっと寄り添うキャラクターでありたい」

という、長期的なファンとの関係性構築がその本質です。

キャラを“売る”のではなく、キャラと“一緒に暮らす”ライフスタイルを提案する──。それが今のサンリオが目指すブランド像であり、他のIPビジネスや小売業界にも大きなヒントを与えてくれる視点です。

そしてこの動きは、私たちのような現場で働く人間にも示唆を与えてくれます。

「応援される売場」「共感されるブランド」──そのヒントは、意外にもキャラクターたちが教えてくれるのかもしれません。


第6章|“共創”はこれからのブランドに不可欠な力

サンリオが見せてくれたのは、「時代に合わせて変わることの強さ」です。

かつては「キティちゃんの会社」と呼ばれていたサンリオは、今や多彩なキャラクターたちが“共に生きる存在”としてファンとつながるブランドへと進化しました。

その背景には、31歳でバトンを受け取った新社長の決断と、“一方的に届ける”から“共に創る”へという発想の転換があります。

このコラボ戦略は、単に企業間の提携ではありません。ファンと、売場と、社会と、あらゆるステークホルダーとの“関係性を設計する力”でもあるのです。

これは私たち小売業や教育の現場にいる者にとっても、大きな学びです。

  • 売場を通じて、どんな世界観を伝えるか?
  • 日常の中に、どうやって共感を仕込むか?
  • お客様やスタッフと、一緒にブランドを育てていけているか?

これからの時代に必要なのは、「モノを売る力」だけでなく、“関係を築き、共に価値を育てる力”です。

サンリオは、その可能性を身をもって示してくれています。

あなたの会社・お店にも、あなたのチームにも、「共創」の種はきっとあるはずです。

それをどう育てるか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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