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【チェーンストア理論シリーズ④】なぜマニュアルは守られないのか?“伝わらないチェーン理論”の落とし穴
はじめに|仕組みがあるのに、なぜ守られない?
こんにちは、森友です。
チェーンストアの運営には欠かせない「マニュアル」や「ルール」。
でも、実際の現場ではこうした声をよく聞きます。
- 「マニュアルはあるけど誰も見てない」
- 「昔はやってたけど今は形だけ」
- 「結局、現場の店長のさじ加減でしょ」
これは、“怠けている”からではありません。
マニュアルが「伝わっていない」「実行に移せない」――その背景に、構造的な問題があります。
マニュアルが守られない現場には、理論と実践をつなぐ“橋”が欠けている。
第1章|“標準化”が機能しない3つのパターン
1. 目的が伝わっていない
ルールの「意味」が抜け落ちていると、行動につながりません。
- 「なぜこのやり方なのか?」が説明されていない
- 「本部が決めたから」では動機にならない
→ 理念(Why)が抜けた仕組みは、動機を生まない
2. 情報が多すぎて行動に落とせない
「理解できない」ことは、「実行できない」。
- 難しい言葉のマニュアル
- 指示が多すぎて優先順位がつけられない
- 結局、現場で“自分のやり方”に戻る
3. 成果が見えず、やる意味が感じられない
- 「ちゃんとやっても売上変わらない」
- 「お客様に褒められるわけでもない」
- 「逆に時間がかかってしんどいだけ」
→ “守る意味”がないと、続かない
第2章|チェーンストア理論の誤解と本質
マニュアル=縛り、というイメージを持っている人もいます。
でも、チェーンストア理論の本質はまったく逆です。
「誰でも同じ成果を出せる」ために、仕組みを整えるのが理論の目的。
- 現場が考えなくていいように整備されている
- 属人化を防ぐために標準化されている
- “再現性”こそが、チェーンの強み
マニュアルは“手段”です。
大切なのは、その背景にある考え方を伝えることです。
第3章|なぜ伝わらないのか?“翻訳者”不在の現場
理論と現場の間にあるのは、言葉の壁です。
本部の意図が「現場語」に翻訳されていない。
- スライド資料をそのまま現場に渡す
- 店長が解釈せず、部下にそのまま流す
- 「やっといて」で済ませてしまう
現場には“翻訳者”が必要です。
複雑な理論を、現場で使える言葉と行動に変える存在です。
第4章|講師として伝えたい、“守りたくなる”伝え方
私が研修講師として大事にしているのは、
「守らせる」ではなく、“守りたくなる状態”を作ることです。
- ルールの背景(Why)を語る
- 成功・失敗のエピソードを添える
- 「やらないとこうなる」という具体例を見せる
- 「完璧じゃなくていい。まず一歩」を伝える
人は、納得できたことしか続けません。
だからこそ、“伝え方”が大事なのです。
まとめ|理論を機能させるのは、仕組みより“伝え方”
マニュアルが守られないのは、現場の問題ではありません。
それは、“伝わっていない”ことが原因です。
チェーンストア理論は、正しい。
でも、それを活かすには、「翻訳」と「共感」の設計が必要です。
- なぜそのルールがあるのか
- 自分の仕事にどうつながるのか
- 守ることでどんな成果があるのか
それを語れる人が、現場を変えていきます。
次回予告|“型がなければ育たない”OJTと理論の接点
次回は、“教育”に焦点を当てます。
テーマは――「OJTとチェーンストア理論」
理論は仕組みだけじゃない。
育てる型こそ、最強の標準化。
第5回も、ぜひ楽しみにしていてください!
最後に、チェーンストア理論をさらに深く学びたい方に、
桜井多恵子さんの著書『チェーンストアの教科書』は、
チェーンストアとは何か、なぜ標準化が必要なのか──
現場で働く人にも、組織をつくる人にも伝わる、
このブログで紹介した内容とあわせて読むと、チェーン運営の「