上司と部下の出世への価値観の違い
上司の無意識の言動が、部下のモチベーションを下げている例は山のようにあります。
上司:「このプロジェクトが成功すれば昇格・昇進かもしれないぞ!」
部下:「ありがとうございます!(全然昇進したくないんだけど‥)」
勿論、上司は部下のためを思って、モチベーションを上げようとしています。頑張ってもらいたい、自分も手助けがしたい、助言をして成長してもらいたい。この想いは純粋ですし、気持ちもわかります。
でも多くの部下は、成長と給与UPは望んでいるけど、昇進は望んでいない。。
理由は様々ですが、昇進したくないのであれば仕事のモチベーションは低空飛行です。
無理して昇進するのであれば、副業の道を歩みたい。
こう考える若い世代は多いでしょう。
今と昔の時代は違うと本当に認識出来ているか
上司の世代が仮に50代以降とすれば、昇進を望まない部下が信じられないと思う人も多いでしょうか?
その世代の方々と30代前半以前の若い人では会社で働く意味での根本的な違いがあります。
1990年頃までの日本は高度経済成長時代で高成長率を長い間重ねてきました。その頃、入社された50代以降の上司の方々は出世していく先輩や同僚をみて負けていられないと意気に感じて努力されたことでしょう。
この当時を仮に毎年10%の成長をしていると仮定すれば、会社に在籍していれば給与も10%伸びて、雇用も10%増えて、ポストの数も10%増え続けているということです。
でもご存知のように、今は違います。
会社員であることのメリットは人生での成功とイコールではありません。雇われていること自体が、ラットレースと考えている人は多く居ます。
会社員であるメリットは、安定的に給料がもらえることです。
この安定は昇進することで、もし経営責任のリスクもあるのであれば、昇進することはデメリットになり得ます。
誰しもできれば給料は増やしたいと思うでしょうが、出世の先にあるギスギスした人間関係を克服してでも出世したいと興味が湧かないのは普通の感情だと思います。
人生を成功へ近付けると信じていた上司世代と会社員には安定を求めたい若い世代で世代間ギャップは思っている以上に大きいはずです。
若手社員の出世・昇進意識に関する調査
クロス・マーケティングは、「若手社員の出世・昇進意識に関する調査」を実施、結果を発表した。調査対象は一都三県(東京・神奈川・千葉・埼玉)に在住する20歳~39歳で、管理職についている人を除く正社員、公務員の男女のクロス・マーケティング アンケートモニター。調査期間は2015年8月21日(金)~23日(日)、調査方法はインターネットリサーチ、有効回答数は1,000。引用元
クロスマーケティングの調査では20代、30代の会社員の約60%が出世したくない、こだわっていないと回答しています。
更に、「絶対に出世したいと思っている」の項目では『男性・20代』が22.4%に対し、『男性・30代』では11.6%と30代になると▲10.8%も減少しています。
これは、30代になって現実を見ると上司が大変過ぎて出世する気を失ったのでしょうか?
20代、30代の多くは出世以外、何に興味があるのか?
- 顧客からの評価や感謝
- 社内での存在価値や役割
- 仲間や家族からの評価
- 社会貢献
著者 横田雅俊:動機づけのマネジメント
動機づけのマネジメント ―最高のマネジャーがやるべきたった1つのこと
上司の1位が「仕事のやりがいや達成感」であるのに比べ、若者は顧客からの感謝や仲間・家族からの評価が上位になっています。
部下世代が仕事に求めているものは、「出世」や「お金」よりも他者からの「承認」です。
100%ではありませんが、この傾向があると思って接したら部下育成のヒントが見えてきます。
これからの上司は、出世や昇進、評価UPをエサに部下とコミュニケーションを取っても上司の世代の何倍も会社での出世に対する興味がないと思って接していくべきです。
そこで「昇進はいいものだぞ!」と上司が直接伝えてもマイナス効果を外すのは困難です。
出世にこだわってないと答えた43.4%の人達も「出世=承認されること」と同意語ですので、上司の世代のように、「仕事のやりがいや達成感」とはニュアンスが違っています。
もはや定年まで働く時代ではない
もはや定年まで働く時代ではありません。
私たちは会社にお世話になり続けるのではなく、会社員でいるうちに個人が力をつけてどの企業でも必要とされる人材になる必要があります。安定を求めるのであれば、学び続けるべきです。
独立することを推奨しているのではありません。会社員が好きであれば、会社員にいつでも成れる技能を磨くべきです。
まとめ
副業が解禁した世の中では、出世願望のない社員はこれからも増えるでしょう。
出世願望はないけどよく働き、技術も高いのであれば全く問題ありませんが、会社はやる気がない社員をいつまでも守ってくれたりはしません。
厳しい話、出世したくないという考えであればリストラも視野にいれるべきです。会社を出て強く生きることを選択するということは甘くはありませんので。
もし独立でなく、転職であれば、今より良い条件の会社に入れる人は少数と認識し「前の会社が良かったな」と後から思わないようにして欲しいものです。
単に周りの良い話にだけは流されないことです。
おわり。
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